【短編】これでキミを独り占め。

咲倉なこ

第1話



学校の体育の時間。


今日は男女ともにバスケットボール。


隣のコートでは、男子の白熱した試合が繰り広げられていた。



今日も拓磨はカッコいい。


試合の合間の休憩中、こっそり隣のコートにいる拓磨を眺める。


さっきから眺めては、カッコいいとため息しか出ない。



「なーに見てんの?」



そんな私に近づいてきたのは、同じクラスの立花くんだ。



「私の彼氏は今日もカッコいいなーって」


「なにそれ、のろけ?」



立花くんはそう笑いながら、私の隣に腰を下ろした。



「そうだよ」


「うわぁ、認めるんだ」


「ってか女子のとこ来て大丈夫なの?」



こっち側にいる男子、立花くんだけだよ?



「先生、試合に夢中だから大丈夫っしょ」


「不良め」


「そりゃどうも」


「褒めてない」


「ってかずっと借りてたマンガ、今日持ってきたから後で返すな」


「あー、いつでもよかったのに」


「立花!なにやってんだ!お前の出番!」



立花くんはすぐに先生にバレてしまった。



「あーあ、立花くん怒られちゃった」


「うっさい」



舌をべーってしながら男子のコートへ戻っていく立花くん。


別に今言いに来なくてもよかったのにな。



立花くんと私は同じ系統のマンガが好きで。


クラスが一緒になってから意気投合した。


コートに戻った立花くんをなんとなく眺めていると、早速3ポイントシュートを決めていた。


すごーい。


立花くんて何気に運動神経いいんだなー。



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