第3話



「…え、なんで立花くん?」



どこから立花くんが出てきたのか見当もつかない私。



「さっき、立花と何話してたの?」



あー、そういうことか。


立花くんと話しているとこ、見てたんだ。



「別に大した話なんて」


「ちゃんと言わなきゃ、何するか分かんないよ?」



拓磨はそう言いながら、体操服の中に手を忍ばせてきた。



「…ちょっ」


「ちゃんと俺のもので居てもらわないと困るよ」



拓磨のもう片方の手が私の頬に触れた時、私のジャージのポケットに入っていたスマホが震えた。



「誰?」



拓磨の低い声が響く。



「今はいいよ」


「いいから、誰?」



明らかに不機嫌そうな拓磨。


拓磨に言われるままスマホを見ると、立花くんからのメッセージが入っていた。


…間が悪すぎる。



「見せて」



油断している隙に、あっけなくスマホを取り上げられてしまった。


非常にまずい気がする。



「ふーん、立花ね」


「違うよ…?マンガ貸してたから、そのことで」


「悪い子にはお仕置きしなくちゃね」



拓磨はそう言いながら、積み重なったマットの上に私を押し倒した。


それなのにどこも痛くなくて。


私の頭と腰を、拓磨が支えていてくれた事が分かった。


強引なくせに優しい拓磨。



「お仕置き…って何するの?」


「心春は何されたい?」



拓磨の一段と低い声に、少しだけ恐怖を感じる。



「お仕置きなんてイヤだよ…」


「ダメ。もう他の男に目もいかないぐらい、俺に夢中になって」



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