第7話 厄日

PM 8:00


「明くん、早かったわね」


「遥ちゃん!、死体をみつけたって本当?、君は何も被害にあってない?」


「心配し過ぎよ、今はわたしがここにいた証拠を消していたところよ」


「それなら良いんだ...でもさ、これで犯人が誰かわからなくなったね」


「いいえ、犯人が誰かは既にわかっているわ、とっくにね...はぁ」


「どうしたんだい?」


「秋花との約束を忘れていたわ、きっと後から凄いどやされるでしょうね」


「ブフッ、心配するのそこなのかい?」


「だって、犯人ならもうわかってしまっているもの、今さら焦る程のことではないわ」


「一体誰がこんなことを?」


「私言ったわよね、講師をやっていたころの彼女は使う度に力がどんどん強くなっていった...でもね、肉体にはその分とんでもない負荷がかかっていたの」


「どういうことだい?」


「質問が多いわよ明くん...でも教えてあげるわ、多分能力の限界値を超えてしまったのよ彼女」


「それは一体」


「...能力にも肉体にも限りというものがあるわ、それを超えて能力を行使してしまうと肉体に限界が来てしまうのよ」


「じゃあこの講師だった死体って」


「多分、能力の暴走で体が限界を超えてしまったのね、それでたまたま近くを通りかかった人を殺害してしまい、怖くなって逃げたけど自宅に着いた直後に限界が来て体が吹き飛んでしまったのね」


「...そんなことって、この人も自分の能力で死ぬとは思わなかっただろうね」


「可哀想だけど、最近はよくあることなのよ、肉体をいじる直接型はとてもデリケートな能力でね、調節に失敗した人を何人か見てきた」


「その人たちはどうなったんだい?」


「死んだわ、一人残らずにね...そもそもの話、異能の力って人類には過ぎたものなのよ、だから...こうして悲しい結果だけが残る」


 そう、能力なんて本当はないほうが良いのだ。

 だって、能力さえなければ転生者たちも平穏に暮らせたのだから。


「明くん、取り敢えず死体の回収と後処理をお願い、私は帰らせて貰うわ...明日は秋花に約束すっぽかした埋め合わせをしないといけないから」


「わかった、僕から教授に報告しておくから君はゆっくり休んで、巻き込んじゃってごめんね」


「良いのよ、大事な人の頼みなんだから」


 そう、彼さえいてくれたら、私は...他に何もいらない。


 あぁ、後は秋花もか。










AM 7:00


「秋花、本当にごめん!」


「遥、急な用事が入った時はちゃんと連絡してっていったよね?」


「本当にごめん、埋め合わせはちゃんとするから許して!」


「まぁ良いわ、今日1日お出かけにつきあってくれたら許してあげる」


「わっ、わかったわ(やっぱりそうなるのね、約束わすれるんじゃなかったぁ!!!)」










PM 6:00


「ああ、楽しかった!」


「そっそう、それなら良かったわ」


「遥、今度からちゃんと連絡してよぉ、昨日はかなり心配したんだからね」


「わかったわ(忘れそうなのが怖いわね)」


「それじゃ、また明日講義で会いましょう」


「えぇ、また明日ね」










「そろそろ出てきたらどうかしら?、つけてきているのはバレバレだったわよ」


「ふふふっ...流石我らが白痴、私の尾行を見破るとはね」


「その呼び方やめてくれないかしら、私はもう貴女たちとはもう一切関係ないのだから」


「あら、今回だって暴走した転生したらの事件に関わっていたじゃない、まだ未練を捨てきれてないように見えるけど?」


「くどいわね、いい加減にしなさい、私はもうそっちの世界に関わるつもりはないの、ほっといて頂戴!」


「つれないねぇ、あの事件を起こした白痴ともあろう御方が、今じゃただの恋する乙女ですか」


「ねぇ、もし明くんに手を出したらどうなるかわかってるわよね?」


「おぉ怖い怖い、心配しなくてもあんなヤバいやつに手を出したりしないって、管理局所属でしょ...あの男」


「そう、それなら良いのよ」


「我々はいつでも待ってますよ、我らが白痴...貴女が組織に帰ってくることを」


「用が済んだなら消えなさい灰姫、私は忙しいの」


「はいはい、それじゃまたいつか」


 そう言って、奴は姿を消した。


「あ~あ、やっぱり面倒事に巻き込まれちゃったなぁ、今日は厄日かな?」


 これは、私の過去であり。


 そして、私の罪。

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神様、転生先がディストピアなんて聞いてません! 森熊ノ助 @z2e0r1o9

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