第2話 私たちの話

私が今暮らしている世界と、前世との違いとして、この世界には大学の授業に、前の世界ではなかった独自のものがある。


それが、私の受けている転生者分類学である。










「皆さんこんにちは、今から講義を始めますので、必要のないものは鞄にしまっておいてくださいね。


それでは、講義を始めましょう」


青柳 風音あおやぎ かざね教授。


転生者分類学の権威で、この講義を受け持っているお方だ。


生徒からの渾名は歩くパソコン。


転生者に関する質問なら大体のことは彼女に聞けばわかるからだ。


一応、講義の時間以外でも喋ったことはあるのだが、一度転生者について語りだすと止まらなくなる気質の人なせいで、酷い目にあった。


もう二度と講義以外の時間には喋らないと決めた瞬間でした。


あっ、そろそろ始まるみたいね。





「転生者には、大きく分けて五つの世代が存在する。


最も最初に現れた転生者で、転生者特別措置法が制定されるきっかけになった第1世代。


第1世代が、ほぼ死亡した後に現れた第2世代。


生き残った第1世代と第2世代が、転生者の自由を守るために組織を結成した後に現れた第3世代。


前述した転生者たちの組織が壊滅した後に現れた第4世代。


そして、現在のところ最も多く存在する第5世代。


彼らの特徴として、それぞれの世代が持っている能力の種類が挙げられる。


一つは、自らの肉体のみを劇的に変化させる。

若しくは強化する直接型。


もう一つは、自分以外の対象に対してのみ効果を発揮する遠隔型。


そして、その両方に作用する特殊型の三つだ。


原則として、第1世代の転生者たちは、全員が特殊型の能力を持っていたと言われている。


他の二つについては、 第2世代から第3世代に

かけて最も多いのが遠隔型。


第4世代から第5世代にかけて最も多いのが直接型だという調査結果が政府から出ている。


ちなみに、現存する第1世代の転生者は、一人のみと考えられているが、その人物に関しては全く情報がないのが現状だ。


ここまでの講義で、何か質問のある者は?」


「はい!」


「村雨か、質問を聞こう」


「転生者は無数に存在すると言われていますが、政府は彼らをどうやって見分けているのですか?。


もし、見分ける方法がないなら、勘違いされて監理局に連れていかれる人が出そうですが?」


「良い質問だね、これを次回の題材にしようと思っていたんだが、特別に教えてあげよう」


こうやって質問をすれば、大体は答えが帰ってくるのが、この教授の面白いところだ。


「彼らを見分ける方法の一つに、触れた時の体温がある。


転生者たちは、一度死亡してからこの世界に現れる為。


非常に体温が低い。


他にも、死亡した時のショックから、感情が著しく欠如しているという点も挙げられるな。


転生者監理局は、 そういったこちらの世界の住人との違いを元に彼らを特定している。


だが、現在いまのところは、直接会ってみないことにはわからないというのが実情だ。


転生者の中には、感情や自らの姿形を自由に変えられる能力を持った者や、酷い時には周りの人間全ての記憶を消す能力を持っている者もいるからね。


頼みの体温による見分け方も、何故かサーモグラフィーでは普通の体温が写ってしまう為。


結論を言うと、村雨の言った通り、勘違いで確保されてしまう人たちがいるのも事実だ」


「教授、質問にお答えいただきありがとうございました」


「こちらこそ、質問をありがとうね。

講義が終わった後、少し話せるかしら?」


「はい、構いませんよ」


「それでは講義の後に、ええと次の話は.....」





講義終了後





「教授、約束通り来ましたよ。

それで、一体何の用です?」


「貴女に、紹介したい人がいてね、今日は彼に会って貰おうと思ったんだ」


「それは、どんな人何ですか?」


「その人物は、転生者監理局の人間でね、転生者分類学の専門家である私の元へ、たまにだが、見解を聞きに来るのさ」


「へえ~」


「まあ、本人いわくただの新人らしいがね、私にはベテランにしか見えないがな」


「すいませーん!、教授はいますか?」


「えっ?、この声ってまさか」


「ああ、入っておいで!」


「監理局第1部隊所属 《はなさか あきら》入ります!」


「(あ~あ、やっぱりだよ)」


「教授、今日もよろしくお願いします.....あれ?、何で遥ちゃんがここにいるの?」


「それはこっちの台詞です!、何でここにいるんですか.....明さん」


どうやら、また面倒なことになりそうです。

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