神様、転生先がディストピアなんて聞いてません!

森熊ノ助

第1話 私の話

私、村雨 遥は転生者である。


前世での死因はお粗末なもので、頭上から降ってきた鉄骨に潰されて、呆気なくミンチとなった。


問題はその後だ。


皆は、転生って聞いたらどんな世界を思い浮かべる?。


普通は、剣と魔法の世界や、スチームパンクな近未来とかだよね。


でもさ、私は違ったんだ。


よりによって.....。


現代とほぼ変わらない世界に転生させられちゃったんだよー!!!。


しかも、あのクソ神!。


「最初から強い能力与えるとつまんないから、生活で役立つ程度の力あげるからさぁ、後は自分でなんとかしてねぇ~♪」


とか言って 、私をいきなり世界に放り出したんだよ!、酷くないかい!?。


しかもさ。


「生まれ落ちた世界が、まさか国によって転生者が管理されるディストピアだとは思わなかったわ」










この物語は、剣と魔法で世界を救う話でもなければ。

ファンタジーな世界で、冒険をする話でもありません。


これは、この世界を必死に生き抜いた。


転生者わたしたちの物語。


どうか、最後まで見届けてください。


私達の生きた軌跡を.....。










私が生まれ落ちたのは、前世とほぼ変わらない、だけどちょっとだけ発達した世界だった。


「遥、パパよぉ♪」

「おお、目を開けたか!、可愛いなぁ」


父も母は、私と違って普通の人間だった。


「(そんなに喜ばれても、私...前世では成人してたから結構キツいんだけど)」


「きゃー、私の方見てくれたわ~♪」

「静枝、流石にはしゃぎ過ぎだよ、遥が泣き出しちゃうぞ」


「(いや、流石に泣きはしないよ、だって私中身は...やめておこう、これ以上考えるのは不毛過ぎる。

今は大人しくしてよう)」


そんなこんなで、優しくて普通な両親の下に生まれたのは良いけど。


「まさか数年で両方ともポックリ逝くとは思わなかったわ」


そう、残念なことに両親揃って私の前世と同じ死に方をしました。


まあ、結局私は親戚中をたらい回しにされて、最終的に施設送りになりました。


それから色々あって、今に至るのだけど。


恐ろしいことに、この世界では転生者が一種の資源みたいに扱われいて、ばれたら転生者特別措置法っていうので連れていかれちゃう。


一応、連れていかれた人が帰って来ていることは確認出来ているけど。


一度転生者として認定された人は、常に転生者監理局って連中に監視されることになる。


私は、今のところばれてない。


一度呼び止められた時は死ぬかと思った。


だって、物凄く怖いんだもん...あの人達。


外で見回りしてる監理局の職員は、皆○ーミネーターみたいなゴツい人ばかりだし。


おまけに、転生者をあぶり出す為なのか、○ッパー君そっくりな警備用ロボットが定期的に暴走するからね(死人は出たことないけど)。


「はぁ、なんでこんな酷い世界に生まれたのかなぁ、神様だってもう少し良い世界に転生させてくれれば良かったのに」


無い物ねだりをしてもしょうがないかもしれないけど。


本当に、なんでこんな世界に私をぶちこんだのだろう。


「他にも色々とあったでしょうに、よりによって何故こんな世界を選んだのかしら」


「遥~、ぼーっとしてどうしたの?。

何か変なことでもあった?」


「いいえ、何でもないの」


「そう、てっきり"あの人"のことでも考えてるんじゃないかと思ったんだけど?」


「秋歌、その話は大学内でしない約束でしょ!」


「ごめん、ごめん、でも最近かなり仲良さげじゃん?、この前も駅前で一緒に歩いてるの見たよ」


「秋歌ぁ、私との約束はなんだっけ?」


「はい!、大学にいる間は余計な詮索をしない...でしょ?」


「ええ、それを守ってくれたこと一度もないけどね」


「うっ、それはぁ...あっ!、用事を思い出したわ、急いで行かないと!」


「あっ!、こら待ちなさーい!」


そう、私は現在大学生に通っている。


今話していたのが友人の秋歌あきか


私が大学に入った直後に知り合い、それ以来何故か腐れ縁で2年間一緒に過ごしてきた。


「あの子も、余計なことを口走らなければ、もっと話しやすいんだけど」


彼女は、興味深いことが出来るとすぐに調べ始めてしまう性格なのだ。


その内、私が転生者であることさえ気づきそうだから怖い。


えっ?、さっきの"あの人"って誰か教えて欲しい?、その内わかるよ。


.....多分。


「あっ、忘れてたわ、今日はこの後に転生者分類学がある!、ヤバい遅刻する~!」


これが、私の日常風景である。


表向きには、ただの大学生ってことで通しているけど。


本当に、いつばれるか不安な毎日である。



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