第14話 先制攻撃
敵の駆逐艦へ攻撃可能な距離に近づいてきた。駆逐艦からの攻撃は、続いている。敵の砲火の中を加速しながら突っ込んでいく。正気の沙汰ではない。
「有効射程距離に到達しました。攻撃を開始します」
AIからの報告とほぼ同時に、機体からレーザー光が放たれる。レーザー光は、真っ直ぐ敵の駆逐艦に向かっていく。味方機からも攻撃が開始され、駆逐艦に向かって、いくつもの光が向かっている。
無数の光の先では、爆発が起こっている。光の中では、多くの死傷者が出ているだろう。漆黒の宇宙空間で輝く光は、神々しくもある。しかし、この光は恐怖の光でもある。
機体は、その間も自動的に標的に対して攻撃を継続する。攻撃をするたびに敵からの反撃は少なくなってくる。戦闘において敵を先に発見し、先に攻撃を加える重要性は明らかだ。今回は、こちらに圧倒的に有利な状況から始めることができた。
さらに、駆逐艦に近づく。敵からの反撃は断続的になっている。次の行動に移る頃だろう。
「AI、次は敵の大型艦の撮影も同時に開始」
駆逐艦の無力化では、それほどの戦果ではない。この空域での重要な目標は、敵の大型艦の情報収集だ。駆逐艦の攻撃にばかり集中していては、本来の目的を忘れてしまう。
大型艦を見てみると、その大きさに圧倒される。ドックのような設備が無数にあり駆逐艦クラスであれば収容したまま移動することもできるだろう。武装も見えるが最低限の兵装しかないようだ。支援艦ならそれも理解できる。だが、これだけの巨体であれば、後から兵装を追加することも容易だろう。
駆逐艦の間近をすり抜けながら、駆逐艦の状況も確認する。損害が酷く、戦闘艦としての活動は不可能なように見える。
「レーダーによるロックオンを確認。回避行動を開始します」
AIからの警告と共に、機体からチャフという金属片が放出され、同時に機体が左右に大きく動く。
「駆逐艦は、無力化していなかったのか!」
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