第12話 軍人という生き方

 待っていた司令部からの命令が画面に表示された。命令の内容は、敵の駆逐艦を無力化し、大型新造艦の偵察を実行せよという内容だった。これでは、誰でも考えれるような内容だ。


「命令が下された。内容は、理解できたか?」

 隊長からの通信だ。本当にこれで実行するのだろうか?ランスは、隊長に質問した。

「隊長、これでは大型艦の装備によっては危険な状況になるのではないでしょうか?」

「そうだな、軍隊というのは命令が全てだ。上部組織である司令部からの命令は絶対だ。それに従うのが軍人というものだ」

少し間があってから、隊長が続けて発言する。

「それが理不尽な命令であったとしてもだ。理不尽とも思える命令でも、全力で応えて結果を出す。それが戦場であり実戦の本当の姿だ。英雄なんていない」

 誰も隊長の言葉に応える事が出来なかった。

「ただ……単純に従えばいいというものでもない。攻撃の方法や、実際の手段までは命令されていない。まずは、駆逐艦の目と耳を使えなくする。そのまま、待機だ」

 そう言うと、隊長機が静かに編隊から離れて動き出した。隊長機は、敵の駆逐艦と周辺で一番明るい恒星を結ぶライン上に移動した。敵からは、恒星の光で隊長機は見えないだろう。


 隊長から通信だ。

「俺の機は、俺のワガママで装備が追加されている。昔から信頼できる七.六ニミリ機銃と二十ミリ機関砲だ。砲弾は、宇宙空間では遠くまで減速せずに飛んでいく。しかも、恒星の光を背にしているので、発射の際のマズルフラッシュも見えないだろう」

 隊長は、少し得意げに話している。自慢の改造なのかも知れない。


「駆逐艦のレーダーやアンテナを遠距離狙撃する。駆逐艦に着弾した光が見えたら全機加速し全速力で駆逐艦を攻撃し、大型艦の横を最大船速で通過しながら撮影を行う。全機、準備!」

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