第8話 傷とラッキースター

 ガハト隊の隊長ガハトに続いて進んでいくと、戦闘機の格納庫に到着した。シミュレーターとは全く違う、いや……形や大きさなどは同じなのだが、実際に戦闘に参加した匂いというか雰囲気を漂わせている機体がそこにはあった。


 すでに準備が整っている機体が多く、整備技術の高さが垣間見えた。機体には、無数の細かな傷があるのが確認できた。実際に宇宙空間を飛んだ証だ。


 多くの機体の中でも、目立つ機体があった。左右の尾翼を赤と青で塗装され、あえて目立つようになっていた。更に、部隊名までペイントされていた。宇宙空間でも、目立つ事は危険なはずだが……


「機体は、隊長機以外は搭乗者は決まっていないから好きな機体を選んでいいいぞ」

 ガハト隊長が、そう言うと隊長機と思われる機体に向かっていった。

「好きな機体と言ってもな……」

 ランスは、周りの機体を見ながら自分の機体を選ぶことにした。その中で、偶然なのか?誰かがつけたのか?星の形のように見える傷がある機体があった。

「これだ……」

 ランスは、その星の傷がついた機体に近づいていった。機体に触って声をかける。

「頼むぜ ラッキースター」

 その言葉に反応したのか、機体のコックピット部分が開いて操縦席が見えた。吸い込まれるように、操縦席に座った。座ると自動的にコックピットが閉まった。訓練で行ったように座席の横にある黒いヘルメットを装着する。


「この機体のAIです。これから自動操縦で目標地域まで編隊を組んで飛行します」

 訓練と同じようにAIが話しかけてきて、自動で機体の確認が進んでいった。進捗状況は、モニターに表示される。ヘルメットバイザーには、外の映像が表示され、周りの機体も映し出されていた。それぞれ隊員が乗り込んだようだ。


 機体が軽く振動し、浮き上がって加速しだした。隊長機を先頭に追随して加速していく。シミュレーターでは感じることが出来ない加速感。実戦へ向かう緊張感をランスは感じていた。

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