第4話 戦闘機小隊と小隊長

 人類が新たな惑星へ移住を始めてから数百年。多くの星で人類は、生き残っていた。地球と同じように人が増え、それぞれの場所で独自の文化ができていた。人が増えれば争いも起き、惑星間の争いまで発展していた。


 移住したばかりの頃は、生き残ることがなによりも優先され、争うことなど皆無であったのに……


 惑星エレトラーンでは、新しく登用された軍人の入隊式が行われていた。新しい制服に身を包んだ隊員が勢揃いしている。戦闘部隊の中でも、最も過酷で犠牲の多い戦闘機部隊の入隊式だった。犠牲が大きいだけ、名声も高く、命を惜しまない若者には人気の部隊でもあった。


 一人の制服を来た女性隊員が登壇し、新しく入ってきた愚か者たちを見ながら話し始めた。制服には、一つのチリもなくシワすらもなかった。全くの新品なのかというと、そうではなく使いこなされた感もありながら、同時に清潔感と堅実さを感じさせる着こなしでもあった。

「本来であれば隊長が、この場にいるべきだが、こういうの事を最も苦手とするので、代わりに小隊長である自分が、諸君らに忠告をしにきた」

 どうみても、歓迎という雰囲気ではない態度と表情のまま言葉を続けた。

「お前たちは馬鹿者だ!一番厳しい部隊に自ら志願するとは。覚悟はできているんだろうな?!……毎日、血反吐かしてやるから覚悟しておけ!」

 そう言って、言葉とは似つかわしくない美しく、どちらかと言うと可愛い顔を固い表情のまま鋭い眼光を居並ぶ隊員達に向けていた。

「以上だ。この式が終わったら早速訓練だ」

 言うか言わないかのタイミングで既に壇から降りようとしていた。その場には、緊張感と晴れやかな式とは違った絶望感が支配していた。


 隊員の中にランス・クローガという若者が周りに聞こえるように言葉を発した。

「なんか、本当にやばい所に来たのかな?」

 周りにいる隊員の耳には届いているはずはのだが、私語をするような雰囲気でもなく、黙って聞き流していた。ランスも、その反応を感じて、次の言葉を発することはなかった。

 緊張感に満ちた入隊式は、その後は進行通りに進んだが、期待していた反応とは違う雰囲気を感じるには十分であった。

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