第2話 フロンティア

 地球環境は、限界に近づいていた。大気温度は、年々上がり気温上昇に伴う気候変動、海面の上昇により、人類が住める場所が減っていく。火山や地震が多発し、経済活動にまで影響が出ていた。そんな中でも、人類は知恵を出し団結を強めながら、対抗策を模索していた。


 しかし、地球という星が一旦違う方向へ動きだしたものを簡単に戻すことは出来なかった。大きな歯車を動かすには、非常に大きな力が必要であり、一旦動きだした歯車は、今度は止めることが難しくなる。少し動きだした時に、対処していれば、もっと少ない労力で元に戻せたのかも知れない。


 環境だけではなく、世界的な人口増加によって更に開発が進み、経済的には世界中が発展していく。ところが、世界中の人が豊かになると、より多くの資材、食料、エネルギーが必要になってくる。多くの資源を必要する国が増えてくると国家間の争いも増えてくる。いつの時代でも、戦争というのは豊穣な領土であったり地下資源がある場所などを奪いあうことから始まる。


 権力者達は、未来を考え自分達だけが安心して移住できる場所を模索していた。宇宙には、生命が住めるような環境を持ち、生命体が存在していると予想された惑星が多く存在していることが知られていた。そこに目をつけた権力者達は、極秘に探査船を建造し移住できる惑星を探した。


 だが、結果は無残なものだった。惑星までの距離がとても遠く、探査船を送っても何年後、いや何百年後にしか結果がわからない。帰ってくることを考えると待つことは難しかった。探査船からの映像を受信し、データだけで判断することもできたが、通信ですら可能な距離を超えていた。


 この結果は、科学者の予想を覆すもので、移住計画は頓挫するかに思えた。この時、若き有能な科学者が一人呟いた。

「送るしかない。実際に送ってみるしかないんだ」

 有能なゆえの暴挙なのか?根拠がある暴挙なのか?ただ、この科学者の発言が唯一の解決策のように静かに、そして早く進行されていった。

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