S2.2 梧桐、アンケートを取る 2月2日

――雪城市 雪城高校3F:ミステリ部部室――


梧桐「――今日は2人しかいないのか。都合が良いような悪いような……。ま、いいか」


叶琉「びすびすび~す、び~すけっと~……あっやっほやっほー」

エイリオ「くっきくっきくっきっき~……あ!梧桐先輩こんにちは!」


梧桐「――いやー、やっぱり会う面子が君たちだとげんなりするねぇ~」


叶琉「うわー心にくるものがある、でもシカタナイネ!あっお茶入ります?」


梧桐「うーん。いや、アレがいないなら厄介な仕事持ってくる前に帰ろうと思うからいいかなー。今日はこれ持ってきただけにしたいし」


▶梧桐はそう言ってm分厚い紙の束を置くよ。『武器に関してのアンケートのお願い』と書かれていますね。内容は武器の種類、名前、技や予備の武器の有無などですね


エイリオ「なんですかー?これー?」

叶琉「……?武器アンケート?」


梧桐「書いてある通り、以上。じゃあ気が向いたらよろしく~」


エイリオ「手書きでもなくちゃんと作ってる、梧桐先輩マメなんですね……!」

鏡花「――あ、もう結構人がいますね。こんにちは」

エイリオ「水月さんこんにちは!先生は今日は来てないよ!」


梧桐「必要以上に話さなくて済むなら苦労は惜しまないよー」


▶叶琉はP.S.に書かれている『普段の自らの言動を省みての行為です』というのを見て首を傾げます


梧桐「あー、ちょうどいいや。君もそのアンケート読んでみて、やってもいいやと思ったらよろしくー」


鏡花「アンケートですか?――なるほど、こういうのも面白そうですね……」

エイリオ「梧桐先輩が思うことあってちゃんと作ってくれたアンケートです、書きますよー!」

叶琉「特に気になることも無いし書いちゃうかな。ペンいずどーこー」


梧桐「まー深い意味はないから。俺がいると書きにくいかもしれないし帰るね~」


▶梧桐が帰ろうとしたタイミングで、鏡花は梧桐の袖を掴むよ


鏡花「――書けました!梧桐先輩、これでよろしいでしょうか?」


マルチマジックデバイス……、杖状の武器。水月の父親からその辺の木の枝を概念変化させたものを渡すことで自分の武器だと刷り込みをしたもの。攻撃や回復など魔法使いのイメージを刷り込んでいるが、魔族としてのこだわりの認証ロックが面倒。メンタルが他人に依存しやすく魔族はすぐに裏切る。刷り込み、精神耐性も低い為予め別の洗脳を施しておくことにする

(祓川青葉が後日紅葉に提出した資料より)


梧桐「――早いなぁ……。えっと、――君、お父さん好きだねぇ」


鏡花「それはもう、格好良いですから。――写真もありますよ?見ますか?」


梧桐「えっ、あー……俺はいいかな。自信無くすから……」

梧桐「マルチマジックデバイス……、魔法使いって感じだ。シンプルな方がそれっぽくなるか……ふむ」


エイリオ「ちょっと見たいかも」

鏡花「えっとですね……、これとかどうでしょうか」


▶どう考えても高校生くらいにしか見えない男性が悪い笑顔をしている写真ですね。父親、と言われなければ彼氏だと見間違う程です


エイリオ「お父さんわかーい!それに格好いい!悪鬼の中の水月さんとそっくりじゃん!」

梧桐(――やっぱり見た目で判断は出来ないもんなんだなと再認だ)


梧桐「あー……、うん。後お菓子の事だけど、お勧めの物とか得意な物でいいよ。ねだるのは悪いからね」


鏡花「ふふっ、ありがとうございます。――街中を歩いていると兄妹に間違えられることもあるんですよ」

エイリオ「よーしオレも書くぞー!ナルなんて書いたのー?みしてみーみしてみー?」

鏡花「得意な物……、クッキーでしょうか……?」


梧桐「クッキー……楽しみ……、にしてる。じゃないしておくよぉ」


ビゾン……、ロシアの銃をモチーフにし、マガジンが独特。主な使い方は束縛を諦観でコーティングした負の感情を時属性と呼ばれる概念を銃で撃ち込むスタイル。マガジンに供給しやすいのが好みなんだろう。メンタルがあまり強くない為、『闇』と相対した時壊れる可能性がある。適度に壊して耐性をつけたい

(祓川青葉が後日紅葉に提出した資料より)


秋斗「こんにちはー。あら、珍しく先生いない」


梧桐 「――ビゾン?あ、先輩も来たんですねぇ」


秋斗「ん?何やってんのみんな。」

エイリオ「パイセンチィィーッス!今ねー!梧桐先輩の作ってくれたアンケート書いてるんだー!パイセンもやって!」

秋斗「アンケート……、そんなん書くのか梧桐。ってうわ律儀かよ」

叶琉「書いて書いてー、大丈夫怪しいものじゃないですー」


梧桐「――まぁ、口を開くと余計な事ばっかりでるんでー、こっちの方が楽ってだけですよ」


秋斗「んー、この武器を使ってる理由かー。最初想像した時『これ化け物とかと戦わされたりすんのかな。やだなー』で薙刀になったんだよな。――あんまり褒められたものではない」


梧桐「銃か、こうして見てるとちょっと興味沸くな……」


叶琉「終わったから甘いものー、んーこれだ!紗々!」


梧桐「槍系って長いですもんねぇ、でも先輩は剣の方がいいですよね~。どうせ殴るだけなら」

鏡花「剣って格好良いですよね。私が振るうにはちょっと辛いですが……」

秋斗「あー剣、いいよな。俺も使いたかったなー。なんてったって勇者みたいだし!」

エイリオ「先輩書けたよ!」


エルフウンボウ……。本人はそう言っているが、おそらくエルフィンボウのことだろう。エルヴンボウの可能性もある。ダークエルフの武器が槍系のイメージが整ったのが2004年のLineage2なことから、本人の部族の概念成立はもっと古いと思われる。元の概念がロードス島戦記な可能性があり、研究対象として更に見るべきだろう。

短剣も使えることから死亡時にはスキャベナだけでも回収したい

(祓川青葉が後日紅葉に提出した資料より)


梧桐「――ウンボウ?で1つの単語、なのか……?それと短剣か」


エイリオ「お父さんがそう言ってた!詳しい事はよくわからないや」


梧桐「一族で伝えていくタイプの名前……。そういうのもアリか……目からうろこだ」


叶琉「あっまあっまうっまうっま外みとこー」


梧桐「じゃあ先輩、一緒に練習でもしてみたらいいんじゃないですかぁ?1人でやるよりいいかもしれないですし~」


秋斗「いやあ俺はもう薙刀でいいよ。マジで化け物と戦わされてるし……」


梧桐「そういう化け物がどんな形で来てもいいように、って意味も含めてのこれなんですけどねぇ」


鏡花「うーん、武器の召喚ならできるんですけどね……。杖がないと術がちゃんと使えないですし……」

エイリオ「武器は新しい物より使い慣れた奴が一番いいって言ってた!」

鏡花「私もマルチマジックデバイスを使いこなせるように頑張りますよ!」


梧桐「杖、剣、銃、槍、弓、短剣……。今日はこのぐらいあれば収穫としては十分、か。――ご協力、どうも。それじゃあ自分は帰るんでー、もしこの後誰か来たらかるーく説明でもお願いしますねー」


▶梧桐はひらひらと紙束を持って出ていきました


叶琉「んむ、了解でーす、バイバーイ」

エイリオ「はーい!先輩お疲れ様っしたー!」

鏡花「お疲れ様です」

エイリオ「今日先生来ないのかなー?オレたちも帰るー?」

叶琉「少し残ろうかな、このアンケートの説明係として」

エイリオ「そっだねー、パイセン今日は珍しく一人だねー?鈴倉先輩とか柏木先輩とか居ないの?」


秋斗「夏乃は学年違うしたまにはそういうこともある。柏木はこっちにいると思ってたけど、いないんなら生徒会じゃないかな」


エイリオ「そっかーんじゃーもうちょっと待っとこうかー、パイセントランプ持ってないのーー?」


秋斗「残念ながら俺の暇つぶしは専らソシャゲでね」


叶琉「お尻に根が張っちゃいます、ぷりーず娯楽ー!」


秋斗「じゃあむしろここにいない人を探しに行くとか」


叶琉 「入れ違いになったらどうするんですかそれー!」


秋斗「じゃあ俺が待ってるよ」


鏡花「私も待ってます。ついでに勉強もできますから」

エイリオ「パイセンと水月さんを二人で残すわけにはいかないなー、パイセンたらしだからなー。」

叶琉「えっソナノ?」

鏡花「そうなんですか?」


エイリオ「だってー鈴倉先輩という人が居ながらエクレアさんと並々ならぬ関係だしさぁ?柏木先輩だっているしー?」


鏡花「………」


▶鏡花はすすっと秋斗から距離を取るよ


叶琉「えーっと、後ろに一歩二歩……、くっもう壁か!」


秋斗「いや別にたらしではないからな?」

秋斗「夏乃は幼馴染だし柏木はクラスメイトだからな?エクレアさんは知らん……。俺が聞きたい……」


鏡花「――怪しい関係ってことですね」

エイリオ 「パイセンー……。気の多い男はみんなそういうんだよ?」

叶琉「先輩……、想い人は、一人にした方がいいですよ……?」


秋斗「やめてくれぇ……無実だ……」


――2時間後――


エクレア「ついついナツノと話し込んでしまいましたわ……。――誰もいませんわね」

エクレア「あら?これは何かしら?」

エクレア「ノゾムのアンケート……、と書いてありますわね。――なになに……、へぇ。ん~」


ヴィヌズ=ジョーヌ・エクレール……。最近紅葉に取り込んだが、こちらがヒトヒラを使い調査した結果フランスの吸血鬼というのが判明した。

フランスの吸血鬼といえば、ほぼエリーちゃん、というかエリザベート以外知名度がなく、また吸血鬼のモデルであり実在というわけではないのでおそらく真祖の吸血鬼だと思われる。

本人は戦は苦手と称し、実際吸血鬼らしい動きは既知の吸血鬼より緩慢で雑魚。

しかし魅了や使役、眷属は既存のどれよりも概念が強い。

赤毛の吸血鬼とのことから、キリストが蔓延する前からの吸血鬼と思われる。機嫌を損ねないようにして戦力として使いたい。

(祓川青葉が後日紅葉に提出した資料より)


エクレア「――こんな感じですわね!」

エクレア「どこに置いておけばよろしいのでしょうか?――まあ折って横にでも置いておけば気づくでしょう……??」


▶エクレアはキスマークをつけて意気揚々と窓から出ていくよ


エクレア「さーて、うどんでも食べて帰りましょうか。フンフンー♪」


――次の日――


梧桐「えっと、あ。増えてる、これは……、エクレールさん、だよな多分」

梧桐「――やっぱり肉体が1番の武器ってことなのか。でもナイフが選択肢にある、シャルム・ヴァンピール……。いかにも固有の技って感じだ……、ちょっと見てみたい」

梧桐「――他にはない、な。うん」


エクレア「今日は一番乗りですわー!」


梧桐「!?」


▶梧桐は身体を強張らせて窓の方を見るよ


エクレア「ってあれ、ノゾム。なーんだ、ワタクシが一番じゃなかったのですわね」


梧桐「――あ、エクレールさんか。ええ……、その、アンケートの回収に……。何人かで話し合ったのもあるんですけど、他の人におおっぴらに見せるようなものじゃないので…」


エクレア「アンケート回収されていたのですね。お役に立てまして?」


梧桐「そうですねー、とても参考になりました。自分の見識を広げるために活かそうとは思ってます」


エクレア「それはよかったですわ。あ、そうそう。ノゾムはこの辺りでとっておきのうどん屋さんとかは知りませんこと?知る人ぞ知るみたいな……」


梧桐「――あー、わからない、です。すみません。もしかしたら柏木緋奈先輩なら知ってるかもしれません。あの人生徒会だし、フットワーク広いから」


エクレア「ヒナ……ヒナ……、わかりましたわ。ありがとうノゾム?」


梧桐 「――いえ。それじゃ目を通したこれの処分に行きますので」


――雪城市 雪城高校1F:プリンター室――


梧桐「――やっぱりこういう機会だしもっと色々扱ってみたい、けどそんな技量なんて身に付くわけないし……うーん……」

梧桐(思いのほか答えてもらえたな……。やっぱりこういうやり方の方が円滑にできるのかもしれない。けど普段からやるのは無理だなー)


▶梧桐はぼんやり資料を裁断機にかけるよ


梧桐「三刀流……、無理。バルログ……、いやきつい。換装……?いやどうやるんだ……」

梧桐「――投げつける……?それなら複数の物も使える……?そういうこと、なのか……?よし……!」


  _________

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    \            \  <紙詰マリ、ハッセイ!!!

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      |                    |  



梧桐 「御社!?」


――



青葉「あーあー面倒だなぁ。プリンターなんて新しいの買えばいいじゃない。いっそ壊して買い直させるか?それの方がいいよね」

青葉「……ん?シュレッダーの方なんだ。ならいけるな」


▶青葉は紙詰まりしている裁断機を見て、回りに誰もいないのを見て魔法陣を展開するよ


青葉「解れた因果よ戻って」


▶書類の束と新品のようになったシュレッダーが残ります


青葉「楽勝楽勝。こっちは燃やせばいいよね……。って、ほーん……?

これそのまま報告資料にしたらいいか。直筆の資料だし価値高いでしょ」

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