S1.2 青葉、増やす 1月21日

――雪城市 雪城高校:ミステリ部近辺外――


???「ウフフ……。見ましたわ!見ましたとも!こちらの世界の残り香を漂わす不審者を見つけて学校までつけてみれば…魔法陣まで飛び出てきましたわ!」


▶うどんをもしゃつきながら、女性がふわふわと空に浮かんでいますね。よく見ればピンク色の霧のようなものに座っています


青葉「うーむむむむむんむん。今の子達でもいいんだけど如何せんボケが足らないわね。ボケ。ってあーーーーーーいるじゃんいるじゃん!!暇そうにしてる”こっち”のやつ~~~!」


???「見た目通り失礼なお方ですわね!?ですが……、ええワタクシ、今とっても暇を持て余していましてよ?」


青葉「ちょっとちょっとそこのこっそりこっちを見てるプリティーチャーーミングなお嬢さん!学生生活を満喫してみるつもりはありませんか??ええ!お暇はさせませんよ!!」


???「ワタクシが学生生活?それはもう100余年程前に済ませていますが……。そうですわねぇ……」


▶うどんのカップを霧の中に収納して、すっと顎に手を当てます


青葉「まあ私より3回りくらい年上オーラはありますが…………!この学校のこの部活に来ると!面白おかしいバカがたくさん!!お菓子もたくさん!!学校行事も私が手を回すので奇想天外ハチャメチャ大騒ぎですよ……?」


???「わかりましたわ。では滞りなくこのワタクシを学校へ転入させなさい。耳の生えた子の写真を使って脅していたのは黙っておいて差し上げますわ」


青葉「ひょっっひょっっひょっひょ~~!脅しなんて人聞きの悪い。私はただ、今後の人生に大いなるスパイスを提供していただけですよ。ではコンゴトモヨロシク。吸血鬼のお嬢様」


???「あら?よくわかりましたわね?流石と言ったところでしょうか?」


▶女性がピンクと黒の霧にふわふわと包まれ、吸血鬼らしい角と牙、翼を出し、部屋に窓ごと入ってきたタイミングで扉の開く音がするよ


秋斗「WAWAWA忘れ物~」


青葉「あら予想以上に名家のご様子。そこらに噛まれたってわけじゃなさそう……ってキャー!!!乙女の着替えを覗いたわーーーー!!!ヘンターイ!!!」


秋斗「お、おおう……。何かお取り込み中のようで……」


???「あなたは……、たしか」


▶女性は気づくと出入り口のドアの前に移動して、秋斗の退路を断つよ


青葉「吸血鬼との契約のし・か・た?知ってます?秋斗くん?」


秋斗「いやあちょっと存じ上げないですね……。また今度調べときますそれでは」


???「アキト……、と仰るのね?」


▶足で壁ドンをするよ


秋斗「ひえ」


???「ワタクシの目を見なさい……」


青葉「あらーなんか急にレバーが食べたくなったなー学食で食べてこようそうしよう」


秋斗「え、ちょっウソでしょ!?この状況で置いていかれんの!?」


▶白々しく青葉が部屋から悠々と出ていきました


秋斗「えっとあの、とりあえず落ち着きましょう。とりあえず自己紹介とかしましょう。そうしましょう」


エクレア「ワタクシは、ヴィヌズ=ジョーヌ・エクレール……、見ての通りの吸血鬼ですわ……」


秋斗「俺は萩原秋斗です見ての通り人間ですね……」


▶エクレアの黄色の瞳が怪しく光り、蹴りによりミステリ部の壁に亀裂が入っていきます


▶秋斗 精神抵抗

 クリティカル

▶特に何も起きなかったよ!誘惑耐性だけは無駄に高いのがわかったよ!


エクレア「ワタクシの姿を見ても恐れは感じていない目をしていますわ……」


秋斗「まあこないだもこわーい敵と戦わされてたんで……。――いや正直ヴィヌズさんもすっげえ怖いけど……」


エクレア「エクレアとお呼びくださいませ?」


▶顔をずいっと近づけますね。人外の美しさに怯むように目を反らします


秋斗「あっ、はい。じゃあ、エクレアさん」


エクレア「えぇ……。アキト……、ワタクシもあなたに興味が湧いてきましたわ……」


秋斗「はあ……」


エクレア「少しだけ……あなたにワタクシの香りをつけさせて頂きますわ……」


▶犬歯が見える程度に口を開き、ゆっくりと首筋に唇を近づけ口づけをします。そのままくるりと回って普通の人間のような見た目に戻ります


秋斗「うぇ!?」


エクレア「……ウフフ……ウフフフフ……。噛みつかれると思いましたか?」


秋斗 「めっちゃびっくりした……」


▶ミステリ部の扉がガチャっと開いて、夏乃が入ってきます


夏乃「秋斗くーん?まだ忘れ物見つかんないのー……おっ?」


エクレア「あら?」

秋斗「あっ」


夏乃「ははーん忘れ物ってそういう……。いやあ悪かったね、じゃあ」


秋斗「いやちゃうねん待って、俺を置いて行かないで」

エクレア 「アキトの……、ガールフレンドかしら?」


夏乃「いえいえただの幼馴染なのでおかまいなく……。引き止めるならそれ相応に秋斗くんで楽しんでくけど」


秋斗「いや大丈夫俺ももう帰る。と言うか帰らせて……。えっと、失礼します」


エクレア「ええ……。またいずれ……♡」


▶秋斗は夏乃に追い縋る様に一緒にミステリ部から出ていきました


青葉「やっはろーわんつーすいっちしゃぼんそんぐ。で、うちの部員気に入った?」


▶良いタイミングで青葉が窓から入ってきます


エクレア「そこは入り口ではなくてよ?」


青葉「私にとっては全てが入り口となり得るのだーふっっはっはははははゲホッゲホッ」


エクレア「でもそうですわね……。ええ、大変気に入りましたわ」


青葉「じゃあ高校2年で登録しておくね。確か修学旅行とかもあったし楽しい学生生活が送れるんじゃないかな?」


エクレア「――見事な配慮ですわ。そこだけは見た目にそぐわぬいい働きをなさりますこと」


青葉「ふふん!もっと褒めてもいいのよ!秋斗くんと同じ2年B組にしておくわ」


エクレア「では、これで……。ワタクシとあなたは協力関係として契約を結びま……、やっぱりあなたとはいいですわ」

エクレア「――あなたとはこの関係の方が楽しそうですもの」


青葉「あら残念。でも私にも吸血鬼は1人先約がいてね。契約はもうしちゃってるんだなー。階位とか知れるチャンスだったんだけどまあいいわ。契約のおすすめは秋斗くんよ。制服とか今日中に手配するから住所とか教えてくれる?」


――



夏乃「いいの?帰って。まだまだこれからお楽しみだったんじゃないの」


秋斗「いやお楽しみっていうか楽しまれたって言うかなんというか。と言うかあの人、初対面だし」



――

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