軍記物語や叙事詩のような雰囲気。淡々としながらも力強い描写に、気がつくと引き込まれてしまいます。 特に、危機的状況の描写が秀逸。闇の奥に何かが潜んでいる緊張感……得体の知れない何かが迫っている気配……突然に強襲する正体不明の敵……そういったシーンでの緊張感と臨場感がたまりません。
「ファンタジー」であり「戦記」であり「ハードボイルド」である。「ハードボイルド」と謳うように、文章には無駄な心理描写は無い。しかし、重ねられるその無駄の無い文章を読んでいくうちに、繰り広げられる情景と登場人物の心理が、読む者の心に鮮やかに浮かんでくるのである。素晴らしい。お薦めの作品です。ぜひ読んで下さい。