第84話 怒りの矛先を理不尽に向けてはいけません!

 モンスターを倒しても倒しても増えていく。



 俺は、――俺たちは疲労していた。あと数体というところで、やっと踏みとどまりまとめてなぎ倒す。リリアンに関してはもうヤケクソみたいになっていた。俺は肩で息をして、モンスターいなくなったことを確認する。そして、全員で集合する。

 とはいっても、戦闘に参加していた俺、ジン、リリアン、メド君だけだけど。けがは持っていたポーションで治療を済ませ、とにかくあたりを警戒する。


「あれで最後だったのか?」


 メド君のつぶやきにジンはおそらくと頷いた。

 だがこれで終わりそうにないと思ったのは、俺だけなのだろうか。だいぶ前のレカルドさんの件もある。油断して、友人を失いたくはないのだ。


「……でも、瘴気は消えないよ。」


「うん、警戒は強めてたほうが良いんじゃ……?」


 リリアンの不安そうにする声に俺もうなずく。するとメド君は後頭部を掻き、ため息をついた。


「とはいえ、この状況で外に出ているのも危険だ。フォレストたちの拠点に行く

 ぞ。」


 メド君はすぐ目の前の拠点を指さす。リリアンとジンはうなずきすでに拠点に向かったが、俺は足を止めた。

 すると、メド君はどうしたと振り向いた。

 

「ねぇ、……なんで安全なはずの安全地帯にモンスターが踏み込めたの?」


 モンスターが踏み込めない絶対領域。安全地帯に、モンスターが少なからず足を踏み入れた。それはおかしいことなのだ。拠点内に踏み込まなかったにしても、ここは安全地帯の中だ。

 それにやっと気が付いたのか、メド君は顔を青ざめさせる。


「あぁ、それじゃあここも危険に等しいのか」


「多分、……俺たちはどうすれば」


 彼の不安が伝染して、より不安が膨らんでいく。


「とりあえず、中に入って話し合おう」


 メド君はそう言った。

 俺は彼の言葉に黙って頷いて、ジンたちの拠点へ入った。

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