第三章 王立学園に行ってきます、マジだよ!
第51話 王立学園に編入しまして······。
少々派手な気がする制服、結わえた髪の毛にむずむずしながら、俺は頬に汗が伝う。今いるのは王立学園の前。王宮かと思うくらい大きな建物の、大きな門の前。
「ハル、行かないの?」
隣でジンがそう言う。
彼も編入することになったのだ。どうやら、俺のお願いがブルーノさんにて承諾され、急ぎで準備もしてくれたらしい。ありがたいと言うか、色々早すぎると言うか。
あのやり取りから、一週間なのだから。速すぎて、心の準備もできてない。
「う、うん。行こっか?」
「······わかった」
ジンはこくりと頷いて、自分の荷物を背負い直す仕草をした。俺はそれを見てから、おそるおそる学園の門を潜った。足取りが重く、ついでに気分も重くて窒息しそうだ。
まぁ、仕方ないんだけど。
持ち前の適応能力の高さで、なんとかなるとか言われたし。まぁ、なんとかなるものなのだろう。知らんけど。
「お待ちしておりました。貴殿方が、編入されるお二人ですね?」
不意に、声をかけられた。俺は肩が跳ね、声の方をばっと見た。すると、スーツ(?)を着た男性がこちらに駆け寄ってくる。
年齢が三十代後半くらいの見た目で、髪の毛を小綺麗見まとめている紳士風の男性だった。上背もあって、穏和そうな雰囲気を醸し出している。これが、大人ってやつか。
そう感心していると、男性は俺たちに微笑みかけた。
「貴方がハルさまで、そちらがジンさまで宜しいですか?」
「あ、はい。俺がハルで、彼がジンで間違いないです」
男性は安心したように笑い、こちらですといって俺たちを案内する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます