第43話 魔法は時に残酷で、美しいのだと知らないから。

 

 俺たちを包んでいた光が、どこかへ収束するように収まっていく。

 俺はちろりと瞳を開けた。金色の粒子が、俺たちから離れて消えていく。それから、この場所がさっきの場所とは違うのだと、はっきり理解した。


  謁見の間


 まさにそれにふさわしい、地下の王宮。その、王に謁見するための広い空間。地面は光沢のある白亜。壁は色とりどりの水晶で、下品にならにならないのが不思議なくらい解け合っていた。天井からは水晶の照明が釣り下がっていて、淡い金色の光で辺りを照らしている。

 それだけであれば、俺たちは感嘆に浸ることができたであろう。


「フロックさん!」


 そのには、惨状が広がっていた。

 青年の姿のフロックさんが、血にまみれて倒れ付している。その傍らには、長い白髪の中性的な青年が。魔力からして、モンスターなのだろうけれど。彼も、同じように倒れ付していた。辺りには返り血が跳ねていて、絶望に飲まれそうになる。

 それから、あれは辺りを見回した。


「ドナーたちが······、イヴにジンもいない·····」


 魔方陣でともにここに来たはずの三人がいなかった。

 

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