第41話 水晶の森はステージ4だと、静かです·····。

 

 俺たち一行は、イヴ、ドナーに加え、ジンと人数が増えました。朝目覚め、ジンのことを知ったイヴは大層機嫌が悪そうだったが、俺が事情を話すと納得してくれた。渋々ではあったが。

 今向かっているのは、ステージ4。

 ジンが抜け道、ならぬ近道を教えてくれた。近道と良いだけあって、険しく、水晶の地面がごつごつとしていた。俺の履いているブーツの底が、すり減っているのが嫌でもわかる。かなり頑丈な作りのはずなのに、ダンジョンというのは侮れない。


「······次は右に進む」


 ときおり、ジンがナビをしてくれるので迷うことはない。

 俺たちはジンの言葉にしたがって、角を右方向に曲がる。そこに繋がっていたのは、薄暗い入り口だった。薄暗くて、今にも何かの怪物が出てきそうな入り口に、まっすぐ繋がっていた。

 

「おい、あそこ通って大丈夫なのかよ?」


 ドナーが眉を寄せ、不機嫌そうに呟いた。

 すると、ジンは黙って頷いた。しかし、安心しきれない様子のドナーは俺のローブの端をつかむ。この状況で、俺はとても歩きづらい。それに便乗したイヴもドナーと同じように、ローブの端をつかんだし。

 先頭を歩くジンが、歩くのが早いと言うのもあって、非常に歩きづらい。


「あの入り口が、ステージ4に繋がってるの?」


「······ん。つながっているというよりも、ステージ5の入り口になってる」


 ジンは入り口を見据えたあと、俺を振り向いた。

 しかし、俺はジンの言葉に首をかしげた。


「ステージ5に直結してるの?」


 そう問うと、ジンは少し悩んだように顎に手を当てた。

 それから、わずかに首を振って、教えてくれる。


「ステージ4は5に行くための移動手段があるだけ。

 ······曲がり角もないし、開けた広場みたいなもの」


「移動手段って、もしかして魔法に関係ある?」


 続けて質問すると、ジンは頷いた。

 つまり、ステージ4には、魔法移動をする場所だけがある。しかも、その移動手段となる場所以外は、何もないのだそうだ。

 それから、そういう場所にはモンスターは出現しないらしい。この話は、本で見ただけなので、事実がどうであるかははっきりとわからない。


「では、ステージ4は安全地帯そのものなのでしょうか?」


「······そうだよ」


 どうやら、その情報を知っていたイヴがジンに確認をとる。ジンもそれにうなずき、安全は保証された。

 しかし、気になるのはステージ4の入り口が、ここにしか見えないと言うことだ。正規のルートにも、繋がっているのだろうか。俺はそう考える。

 だって、一度も正規のルートに戻ってないもん。


「······じゃあ、行こう」


 ジンが俺たちに呼び掛ける。

 入り口は目前で、最後のステージが俺たちを待っている。ここまで来たら、引き返せないし、そもそも引き返せる状況じゃない。

 

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