第32話 ダンジョンの朝は白いとか、そうでないとか?

 テントで眠ったせいか、やっぱり体がバキバキに痛い。俺は背中を押さえながら、起き上がった。同じテントで眠っている二人はまだ起きない。俺は寝ぼけ眼を擦って、テントから這い出た。

 昨日は俺が最後に寝たのに、二人は熟睡タイプなのだろうか。まあ、俺はショートスリーパーだし、そんなもんだろうかな。


「ふぁ~、んむぅ」


 俺はあくびをしながら、目を見開いた。テントの外の景色が昨日とあまりにも違いすぎるのだ。

 いや、構造ががらりと変わったわけではなく、色彩のあり方が違うのだ。昨日はやや薄暗かったダンジョンが、朝日が差し込んでいるようにキラキラと輝いている。シトロンが埋め尽くす空間が、光源のわからない光を反射している。

 神秘的な輝きが、この空間を包んでいる。


「すご······」


 俺は唖然としながらも、辺りを見回した。


「おふぁよぉ、」


 不意にテントから出てくる声が聞こえたので振り向くと、ドナーがいた。笑えるくらいの寝癖をこしらえている。

 俺は彼に挨拶をして、微笑んだ。


「おはよう。ちゃんと寝れた?」


「おぅ、寝れた」


 そう言って、ドナーは目を擦っている。朝に弱いのだろう。まだ眠そうな表情だ。弟妹も朝に弱かったから懐かしい気分がする。


「朝御飯の準備するから、イヴを起こしてきてくれるかな?」


「あぁ、いまいく」


 俺はポーチから鍋やら、パンやらを取り出して、ドナーに頼む。ドナーはまだ眠たそうにうなずいて、テントの中へ戻っていった。

 

 今日も一日頑張らなきゃな。

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