第14話 朝食を食べてから、働こう(これ基本)!
目が覚める。昨日はアップルパイをつくって終わった一日。
今日は訪ねてくる子供たちと畑仕事をする一日。種は蓄えになる根菜、ビタミン豊富な瓜類だ。トマトとか、ナスとか、カボチャとかね。
カボチャはポタージュにしたいなぁ。
「ふぁあ······」
背伸びをして、ベッドから這い出る。少し寒かった。しかし、二度寝すれば起きれなくなってしまう。子供たちが来たときに寝ていたら、物理的にも起きれなくなってしまう。
だって、ザックさんにボッコボコにされるじゃんね。
「朝ごはん······、」
キッチンに向かい、戸棚を開ける。鞄から移しておいた、フランスパンがある。それを取り出す。
魔法で長期保存できるようにしてるから、向こう三年くらいは腐らない。それから、ジャムと、この家にあったチーズも取り出す。チーズは、まるまる一玉あった。数え方は知らないけど、テレビでしか見たことのない円柱形のやつが二つ。
それを見たときは驚いた。
「ベーコンもあるから、スープに······」
眠気が抜けないが、保存箱から小分けしたベーコンを取りだし、持ってきたニンジンと芋も取り出す。ブロッコリーも入れたいなあ。作ってないけど。
それから、調味料専用の戸棚から、スパイスと塩、コンソメを取り出す。驚いたことに、この国はコンソメが日本みたいに固形なのだ。
なんか懐かしくなって、見たときテンションが上がった。
「ほーちょぅ、何処ぉ······?」
眠いせいで、フラフラしながら材料をキッチンのテーブルに置いた。まな板も準備せねば。
あった。包丁。
包丁も種類が豊富で、チーズやパンを切る専用のものもあった。フランス料理とでしか使わない包丁とかもある。それは、使うかが不安で仕方がない。
「ジャガイモとニンジンの皮を剥いて、あと。
あ、ベーコンも切り刻まなきゃ」
意識がやっと覚醒してきた。
ニンジンと芋を洗って、包丁をあてる。するすると皮を剥いていく。皮はスープの出汁に出来るけど、面倒くさいからやらない。時間がかかるし、何より鳥の骨とか必要だったりするから。
「作りすぎ?」
野菜を一口サイズに切りながら呟いた。ポトフだけで結構な量を切った気がする。じゃあ、アレンジして夕飯はカレーにしよう。スパイスの組み合わせも確かめたいし。
フライパンに油を敷く。なんかいい匂いの油だ。
そしてフライパンを熱して、細かく切った野菜を投入する。
ジュワアァァァ
心地よい、油と水分が跳ねる音がした。もわもわと、蒸気が出てきて、野菜特有の甘い匂い。
その間にベーコンを切る。ベーコンも一口サイズより少し小さめだ。
あ、パンも焼かなきゃ。フランスパンと大きなチーズの存在を思い出す。チーズも食べる分だけ切らなきゃいけない。
「着替えもしなきゃ。スープ煮てる間でいいかなぁ」
少しだけあくびを漏らして、ベーコンを切り分ける。正方形の可愛らしいサイズだ。本当はベーコンも塊だった。一人で食べきれなさそうだったから、長期保存の魔法をかけたけど。
それから、フライパンの中でジュワジュワいってる野菜に、塩と胡椒を軽く振りかける。ついでに、スパイスも入れ、ベーコンも入れる。
「あぁっ!」
大きな声が出た。
だって、いいことを思い出したのだから。
そうだ、チーズトーストにして、あった蜂蜜をかけよう。贅沢しないように、スプーン一杯だけ。
卵と牛乳も使えば、ハニートーストからグレードアップして、フレンチトーストになる。けど、それは一晩浸さなければならないのでまた今度だ。
「うふふ」
フライパンの中身を木ベラで混ぜながら、にやけてしまう。これ誰か見たら、俺不審者だと思われちゃう。
それから、鍋で沸騰している水を確認して、具材を投入した。
これから、灰汁が浮いてきたら掬って、スープを入れよう。固形スープの素を。日本でも主婦の味方だった。俺の忙しいときの味方でもあった。
「よし。
灰汁もとったし、スープも入れた。着替えてこよう!」
火をトロ火にして、洗面所にいく。
昨日頑張って、洗濯もしたし。さっぱりとした服が着られる。魔法で速乾だったしね。
それから服は、山奥の方の家で生地を魔法でつくって、縫ってきた。裁縫道具も備えていたので。ちなみに今もソーイングセットは持っている。
パーカーを作った。ワイシャツと、あとスラックスとジャージ上下も。学生みたいな組み合わせだと思ったけど、一応実年齢は高校生だし。異世界に来る前まで、高校に通っていたし!
「服もバリエーション増やしていこうかな?」
つくったら売ったりするのも楽しそう。
さて、着替え終わったし、顔洗って、鍋の様子を見に行こう!
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