第一幕 魔女マリィ 火の異端審問(4)

 コレッタの羨望の眼差しを意識の端で引きずりながら、マリィは迷路のような本城の廊下を歩いていた。城の東に位置する本城は、大広間、礼拝堂、会議室、客室、浴室、衣裳部屋、化粧室、浴室、大寝室など多数の部屋を要する、ひときわ大きな建築物である。六角形ではないが、ごつごつと高さの異なる塔が突き出し、凸凹と張り出した外観が不自然な印象を抱かせる。

 見取り図を片手にこの廊下をたどるのももう一週間にもなるが、未だにマリィはその道筋に慣れることが出来なかった。城の一階をあがるのに、数度は階段を上り、また何故か下りなければならなかったし、わざと遠回りしなければならないルートがあった。分岐が幾つもあったし、扉も無数に存在していた。間違って扉を開けると、そこには何もなく壁があるだけのときもあった。何のための扉であるのか、マリィには意味が分からなかった。大きな窓かと思えば、それが唯一の出口であったり、出口かと思って扉を開けると、元の場所に戻ってきていたりした。最初の頃は、すぐに自分の位置が分からなくなり、見取り図がなければ出られなくなるのではないかと不安になったほどだ。そのときの案内役はコレッタではなく、召使長のフランフランだった。彼女の背中は、棒が入っているのではないかと思えるほどピンと伸びていて、同じようにまっすぐに発せられる重みのある声でマリィに語りかけた。

 「いいですか、城の中は一種の迷路になっています。慣れるまでには時間がかかるでしょうが、ゆっくりとでいいですから決して迷わないように。自分の位置を見失ってしまえば、見取り図も役に立たなくなってしまいますからね。変な場所に迷い込んだり、開けてはいけない扉を開けてしまったりすると、始末に終えません。貴方に許されているのは、たった一つの道だけ。伯爵様のご子息である、クリフ坊ちゃんの寝室への道だけなのですから」

 フランフランは声と視線、そして姿勢で強い圧力を掛けてくるのだ。その口調は風格さえ漂わせていて、姿勢から発せられるのは、容易には冗談も許されないような雰囲気だった。コレッタがびくびくするのも分かった気がした。マリィは見取り図と周囲を見比べながら何度か同じ道を通るうちに、やがて見取り図を見る時間は少なくなり、到着までの時間もまた短くなっていった。

 目的地にたどり着くと、マリィは弾んだ息を整えながら扉を叩いた。必要以上に急いでしまったのは、寝たきりの美しい少年の顔を思い出し、手にした料理が冷める前にたどり着きたかったからであり、またつい新記録を更新しようとしたからだ。

 「クリフ様、マリィです」

 「はい、どうぞ」

 中からクリフ少年の声変わりを迎える前の高い声が聞こえてきた。

 扉を開けると、広々とした室内に昼の日差しが差し込んでいる。薄く軽いカーテンがゆったりと風に揺れている。石の壁には何枚もの地図と、美しい楽園の絵が飾られている。楽園の絵にはクリフ少年の面差しとそっくりの天使が描かれている。大きな本棚が上の壁一面に設えられ、たくさんの蔵書がサイズ別に整然と並べられている。室内の端に机と椅子があり、中央には豪華な天蓋付きのベッドがあった。その上に、柔らかなベッドに埋もれるように、一人の少年が上半身を起こしていた。美しい金髪は軽い巻き癖がつき、緩やかに波打っている。眉は艶のある茶色をしていて、その下には蒼い瞳が透明な光を放っている。頬はすっとして白く、青褪めているようにすら見える。寝巻き越しにも薄い胸と細い腕が見て取れる。伯爵の一人息子、クリフ少年である。

 「おはようございます、クリフ様」

 「おはよう、マリィ。もう道を覚えたみたいだね。すごいや、少しずつ来る時間が早くなっているみたいだ」

 クリフはそういうと、マリィに儚げな笑みを向けた。

 「クリフ坊ちゃんこそ、少しずつお顔の色がよくなっているみたいですよ。お加減はいかがですか」

 「うん、だいぶ調子はいいみたいだ。もう少しすれば、出歩けるようになると思う」

 「よかった。でも無理はよくありませんよ。お医者様は何とおっしゃっているのです」

 マリィはこの病み衰えた少年に、自然と柔らかな笑顔で話しかけていた。本当にこの一週間の間に、ずいぶん体調はよくなっているみたいで、そのことが素直に嬉しく感じられた。初めて会ったときなど、げっそりと痩せていて、消えかけの蝋燭のように弱弱しい炎を灯していたものだ。

 「心配性だな、マリィは。大丈夫、城付きの医師も同じように言っているよ」

専門家の見立ても同じであることを聞いて、マリィはほっとする。

 「きっとお料理が栄養満点だからですよ。今日も残さずに食べましょうね、料理長によれば、東方の薬膳料理を真似たものらしいですよ。珍しい食材がいっぱいです」

 マリィが配膳の準備をしていると、

 「異国の料理か、どう、美味しかった?」

 「ええ、とっても。これまで食べたことがないものばかりで……」

 そう言ってしまってから、マリィはその質問の意図に気付いた。手を止めてクリフの表情を伺うと、案の定、少年はくすりと悪戯っぽい表情で笑いかけた。

 「やっぱり。マリィは毒見役として雇われたんだね」

 どきりとするが、マリィは表情を変えず、動揺を悟られないように努めた。しかし次の言葉を捜しあぐね、奇妙な沈黙ができてしまった。

 「おかしいと思ったんだ。コレッタはいきなり配膳役を下ろされるし、馬車に乗って新しい召使いがやってきて、いきなり僕の料理番だもんね。お父様はもう城に住む誰も信じていないみたいだ。それにしても、マリィも損な役回りだね。毒見係なんてさ。ぼく、ぞっとしちゃうな」

 「あら、私は得したと思っていますよ。だって毎日、美味しいクリフ様のお食事と同じものを頂けるのですもの。他の召使い達のご飯なんて、固くてぱさぱさした黒パンと味の薄いスープです。コレッタも羨ましがっていましたよ」

 ばれてしまったことは仕方がない。マリィはそういって笑顔で切り返した。変に取り繕うとすれば、繊細な少年の信頼を損ねてしまうかもしれない。

 「そうだね、コレッタが配膳係だったときは毒見役なんていなかったけれど、運ぶ途中にしょっちょう盗み食いしていたものね」

 それを聞いて、コレッタがこっそりと少年の食事を摘み食いするのをありありと想像してしまい、マリィは少年と目を合わせると、一緒にくすくすと笑った。

 聡明な子だ、マリィは思う。さっき自分にカマを掛けたことといい、会話の調子といい、十一歳とは思えないほどに相手のことを考えて話している。会って数日で、マリィはこの少年の大人びた聡明さと、子供っぽい純粋さを感じ取っていた。

 「それにしても、マリィは賢いんだね、コレッタとはぜんぜん違うや。仕事もてきぱきしているし」

 「そんなことありませんよ、どうしてですか」

 「さっきもいっただろう。この迷宮みたいな城の道を覚えるのって、とっても大変なんだ。慣れてても、ぼーっとしていると、すぐ自分がどこにいるか分からなくなるでしょ」

 マリィは相槌を打って頷く。

 「コレッタなんてさ、道を覚えるのに三ヶ月もかかっていたんだよ。遅れることなんてしょっちゅうだったし。昔のことだけど、一時間もかかって扉が開いたと思ったら、汗だくで泣きながら入ってきたんだよ。『迷子になって、何処へもたどり着けないんじゃないかと思って』ってしゃくりあげながらいうから、僕、背中をさすって慰めてあげたんだ。大丈夫だよって。それがさ、この間なんてまた三十分も遅れるから心配していたら、堂々と口の端にソースつけて入ってきてさ、こういうんだ。『すいません、坊ちゃん。また道を間違えちゃって。お料理がさめると美味しくないから、温かいうちに食べて私が感想をお伝えしたほうがいいんじゃないかと思って、味見しておきました』って。大真面目にいうんだもん。おかしくって。きっと廊下を歩いているうちに、いい匂いに我慢できなくなったんだね。『ふてぶてしい』ってこういうことでしょ」

 おどけて口調まで真似るクリフの話に、マリィは噴き出してしまった。

 「コレッタは確かにサーカスの道化師みたいですものね」

 コレッタの失敗や、滑稽な仕草を思い出してそういった。

 「でしょ、マリィ。だけど知ってる? 実はサーカスで一番上手いのは道化師なんだよ」

 「そうなんですか。道化師っていうのは、いつも失敗ばかりして滑稽な動きでお客さんを笑わせるためにいるのではなかったのですか」

 「そうじゃないよ。ぼくサーカスには詳しいから知っているけど、道化師はどんな芸でもこなせなきゃならないんだよ。サーカスの中でも大切な、とっても難しい役なんだ。上手に演じることができるのはベテランだけさ。僕も大好きなんだ。だって眺めているだけで楽しくなってくるでしょ。スリルとか驚きなんかは他の役柄には勝てないけど、何だかほっとして、ワクワクしてくるんだよね。

 ――どう、コレッタは元気にしている」

 少年は優しく微笑みながらそう尋ねる。どこか寂しげで、遠くを見るような視線がマリィを透過する。

 「ええとっても。元気すぎるぐらいですよ。今日も坊ちゃんに元気だって伝えてくれって、そういっていました」

 「落ち込んでいない?」

 「そうですね、摘み食いができなくなったことと、坊ちゃんに会えないことをとても残念がっていました」

 クリフは少し俯いて声のトーンを落とす。

 「僕だって会いたいんだ。だけどお父様の言いつけじゃね。コレッタが食事に毒を入れるなんてありえないのに。マリィだって一緒の部屋だから分かるでしょう。そんなことをするような人じゃないって」

 「ええ、もちろん、彼女がそんなことをするはずありませんわ」

 「まあ確かにコレッタのことだから、隠し味の胡椒と間違ってふりかけちゃう可能性はあるけど」

 そういってクリフは顔を上げると、曇った表情を消して笑顔を見せる。

 「でも、よかったよ、その日の献立がコレッタの好物じゃなくて」

 「あら、どうしてですか」

 「だって、好物だったら、間違いなくコレッタは摘み食いしていたもの。それもたくさん。そしたら、僕の代わりにコレッタが死んでいたかもしれないでしょ。だから、マリィにも本当は毒見なんてして欲しくないんだ。マリィだけじゃない、この城の誰にも、毒見役なんてさせたくないもの。お父様にもいってるんだ。きっと誰かが薬草と毒を勘違いしてを入れたのだから、城には誰も悪い人はいませんって。ほら、お父様は城仕えの者たちに厳しいでしょう。これ以上厳しくしたら、みんな可愛そうだよ」

 僅か十一歳の少年の気丈さと気高さに、マリィは驚いていた。しかもこの少年は、一年前に、母と親友の二人を無残な事故で失っているのだ。その心の傷も癒えたか分からぬ内に、父と自分を狙った毒物混入事件である。伯爵はすぐに回復したが、少年は死の境を三日にわたって彷徨ったのだ。医師の話では、毒の摂取量からいって助かったことは奇跡なのだという。普通なら気の利いた冗談などいえず、誰が犯人であるか分からない城の住人達に対して人間不信に陥ってもおかしくないはずだ。

 それをこの少年は、城の住人に殺されかけながら、そのことを気に病むこともなく、逆に事件によって城の住人達に迷惑がかからないかを心配しているのだ。天使のような子とは、この少年のような子を指すのではないか。優しい微笑を見ながらマリィはそう思った。こんな子を殺そうとするなんて、いったいなぜ…見えない犯人に強い憤りを覚えた。

 クリフが食事中に突然苦しみ始めたのは、半月前の夕食でのことだったという。

 その日、しばらく体調を崩し部屋で食事を取るようにしていたクリフは、気分がよくなったので伯爵と久しぶりに食卓を囲むことになった。配膳役はクリフの侍従をしていたお気に入りのコレッタだった。クリフと伯爵はそろって料理を食べ始めた。食べ始めた直後、二人は顔をゆがめて苦しみだし、料理を吐いて痙攣しだしたのだ。城付きの医師が駆けつけ、すぐに毒物だと判断すると、胃の中のものを吐き出させた。

 伯爵は一日で意識を取り戻したが、クリフは三日間、死の縁を彷徨った。四日目に何とか意識を取り戻すことができたが、医師によれば、スープに混入されていた毒物は致死量を遥かに越えるものだったという。少年が助かったのは殆ど奇跡に近く、胃の内容物を大量に吐き出すことで何とか死なずに済んだが、普通ならばまず命を落としていただろうとのことだった。毒は伯爵とクリフ用のスープにだけ入っていた。犯人はクリフと伯爵の二人に明確な殺意を持って、致死量の毒物を混入したのである。

 いったい誰が、何のために、少年と伯爵を殺そうとしたのか。その犯人を突き止めることがマリィに課せられた裏の仕事の一つだった。そしてその第一容疑者が、配膳役であったコレッタだというのである。

 「――私がお坊ちゃんのお世話をしていたのだけど、その役を外されてしまったの」

 コレッタはクリフ付きの仕事の引継ぎを行うとき、マリィに言い辛そうにそういった。悲しそうな顔は、今にも泣き出しそうなほどその目が潤んでいるのがわかった。

コレッタがクリフ付きの侍従になったのは、一年ほど前のことである。それまでは、なんと修道女をしていたのだという。コレッタの仕事を眺めたり、話しをして彼女を気に入ったクリフが、伯爵に直に頼み、司祭にかけ合って還俗させたのだという。

 「彼女はクリフ様のお気に入りなのですね」

 そう尋ねたマリィに、クリフはこう答えた。

 「だって、あの子を見ていると、何だか楽しくなってくるじゃない。いつのまにか周りの人を明るくしちゃう不思議な力があるみたい。マリィもさっきいったけど、まるでサーカスの道化師を見ているみたいでさ」

 その言葉に、コレッタもまた同じようにクリフを表現したのを、マリィは思い出した。

 「お坊ちゃんは一年ぐらい前にとっても辛い出来事があったのよ。だから明るく振舞っていても、それは無理をしているの。召使いたちを心配させたくないから。それだけじゃない。クリフ様は城の雰囲気が何だか重苦しくなってくるのを感じて、私たち城に住む人たちを明るくしようとしてくれていたのよ。それまでやったことのなかったような悪戯をあっちこっちで起こしたり、失敗をしでかしてわざと叱られて見せたりね。まるでサーカスの道化師みたいに、私たちを笑わせようとしてくれた。

 私はこっそりその手伝いをしたりしていたの。例えば一緒にカーテンに落書きをしたり、床をつるつるに磨き上げてから洗剤をまいてすべりっこをしたり、時計の針を全部狂わせたり、調味料の中身を入れ替えたりね。そうして城勤めの人たちをからかったりするようになったの。暗くなってしまった人たちを変えるために、無理に明るくなって。それが分かったから、共犯である私だけは本当に楽しもうと思ったのよ。私が楽しめれば、それがクリフ様にも伝わるでしょう。だから二人して色々な悪戯を考えたわ。とっても楽しかったのよ。おかげでクリフ様と一緒にいっぱい怒られちゃったけど、それも二人だから面白かったのよね」

 甘い空気が重く淀んでいるようなこの城の中で、マリィは城の住人達からの強い敵意、拒絶反応を感じていた。また住人同士の間でも、どこか陰鬱とした雰囲気が漂っているのを感じ取っていた。城のそこかしこで不気味な気配が沈殿していたし、時折、何処からか不穏な視線が肌を撫でるのである。そんな中で、今は引き離されてしまったコレッタとクリフとの関係はマリィの心に温かい安らぎをもたらしてくれていた。

 「お願いマリィ、私はクリフ様から引き離されて、近づくことができなくなってしまった。きっとまた一人になって苦しんでいるかもしれないわ。だからクリフ様を守ってあげて。何だか真っ黒な雲がクリフ様の周りを取り囲んでいるみたい。まるで悪夢みたいに。私にはこの城そのものが、何だかクリフ様を苦しめているような気がしてならないのよ。

 このままでは奥方様みたいに…」

 コレッタは一度そこで口ごもると、声を潜めていった。

 「――奥方様のように気が触れてしまうわ」

 コレッタの眼差しはいつものようにおどけたものではなかった。真剣な眼差しで、マリィに必死に訴えようとしていた。

 「ここに来たばかりの貴女にこんなことを頼むのは酷かもしれない。でも、だからこそ、貴女はまだこの城の持つ奇妙な空気に毒されていない」

 「分かったわ、私も何回か会っただけだけど、クリフ様は大好きだもの。でも、守るといってもどうすればいいのか。私に何が出来るのか」

 マリィは不安げな声でそう尋ねる。

 「ただクリフ様と一緒に笑って、笑顔を見せてあげるだけでもいいのよ。笑い声や笑顔が、悪い夢を、澱んだ黒い雲を追い払ってくれると思う」

 「悪い夢……それからクリフ様をお守りするの?」

 そうマリィが尋ねると、コレッタはびくりと小さく体を揺らした。そして何かを言いかけてやめる仕草を見せた。

 「ねえ、噂で聞いたのだけど、クリフ様が悪夢に悩まされているって。悪夢を見るのが怖くて、毎晩、なかなか眠ろうとしないって。そのことでしょう」

 そう尋ねると、薄目を開けるようにちょっとだけ心の炎を解放した。

 コレッタの心が明らかに動揺したのが分かった。悪夢、その言葉に強く反応を示したのに違いがなかった。彼女が心を落ち着かせようと、動揺を無理やり押さえ込んだのがはっきりと見てとれた。彼女は話を続けた。

 「違うわ、その悪夢じゃないの。確かにこの城には悪い夢が漂っている。人を狂わせようとしている。でもそれは夜に見る夢や、空想のお話の出来事なんかじゃなくて、本当に起きていることなの。ずっと城に暮らしている私には分かる。クリフ様のお母様は、とても可哀想な方だった。気が触れて塔に閉じ込められ、最後には飛び降りて死んでしまった。クリフ様のたった一人の親友を道連れにして。あのお方は、城にたゆたう悪い夢に囚われてしまったの。あの方に憑いていた悪い夢は、また新しい生贄を探して城を彷徨っているわ。感じているでしょう、貴女も。どこからかこっそりと自分を覗いている気持ちの悪い視線を。昼でも夜でも関係なく、現実に城で働いている間に」

 マリィはこくりと頷く。自分が城に来た日から感じていた違和感を、普段はあっけらかんとして振舞っているコレッタに的確に言い当てられた。おぼろげな感覚でしかなかった視線が鮮明にイメージされ、寒気を感じた。

 コレッタは話をするうちに感情が昂り、ぽろぽろと涙を零していた。マリィの手を取り、懇願するかのように言った。

 「だから、お願い、マリィ。坊ちゃんを悪夢から守ってあげて」

 コレッタの肌の荒れた冷たい手を握り返して、マリィはその懸命な眼差しを受け止めて、頷くことしか出来なかった。

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