第10話
そう言って有無を言わせずに電話が切られた。美和子はぶつけどころの無い怒りを覚えてビールを飲みほすと、グラスに焼酎を入れて水割りを作った。それもゴクゴク飲む。明らかに飲み過ぎであるが母の事を考えると飲まずにはいられない。同時に何故か凄い食欲が襲ってきた。スーパーで買ってきた物を食べる。しかしそれだけでは我慢ができなくなった。冷蔵庫の扉を開けるが何もない。しょうがないピザの出前でもを取る事にした。意を決してピザ屋さんに電話をかける。Mサイズ一人前では申し訳ない感じがしてポテトとナゲットも追加して頼んだ。
(こんなに頼んでどうしよう)
そう思ったが何故か食欲が湧いてくる。
(ちょっとつまんで止めておこう)
悩みながらもお酒を口に運ぶ。数十分するとピザが届いた。美和子はピザをつまみながら
(睡眠薬でも飲んで眠ってしまいたい)そう思った。
(寝る?こんなに食べて?明らかに太る)
(どうしよう。どうしよう。どうしよう。)
(嘔吐してしまえばいい。母のように太りたくない)そう思うと落ち着いてきた。そうしてその後、勢いよく飲んでいたからか泥酔してしまった。そこから記憶がない。
目が覚めるとベットで寝ていた。ピザの箱が空になっている。どうやら全部食べたようだ。
(嘔吐は?)
嘔吐した記憶が無い。急いで体重計に乗る。二キロ増えている。食べてそのまま寝てしまったらしい。美和子の心に凄い罪悪感が襲ってきた。
(だらしがない)
そう思った。
酔っぱらって、食べたいだけ食べて寝る。こんな人間最悪だ。よくよく考えれば人に誇れる事など何もない。やっている仕事は風俗である。
(死んでしまいたい)
そう考えると美和子はメンタルクリニックで貰った薬を見た。きっと全部飲んでも死ねないだろう。だが少しの間の時間だけ死んでしまえる量はあるはずである。
美和子は薬を一錠ずつ口に運ぶとビールで飲みほしていった。数十分するとまた眠たくなってきてそのまま眠りにつく。
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