第4話
「もうすぐ呼ばれると思うよ。もう二時間以上待っているから」
「そうか。こんな所にくると俺まで病気になりそうだ。気分が滅入るよ。お前が男のくせにダイエットなんかするからこんな所にくる羽目に。まったくもう。」
美和子はやはり席を譲ればよかったと後悔した。
ちょうどよく
「白石美和子さん」
受付から呼ばれる。どうやら会計ができたみたいである。ちょうど良かった。美和子は席を立ち軽く会釈をしてその場を去った。
外にでると季節も秋にさしかかり、空が高く感じられる。自転車にまたがって勢いよくこぎだす。貧血から軽く眩暈がするがいつもの事だ。もう慣れた物である。
(夕飯どうしよう)
今から一人分の夕飯を作るのは面倒だ。いつもならば仕事から帰ってお酒を飲みながら、軽くノンカロリーの物を食べる程度。今日もそうしようかと思ったが、先ほど医師と約束したばかりである。
(サラダなら食べられるかな。後豆腐と刺身、)
お酒のおつまみを考える。不思議とお酒を飲むと食べ物も少しは食べられて、嘔吐したくもならない。美和子は帰りにスーパーに寄る事にした。
ビールの五百ミリリットル入りを二本買う。それだけでは足りないので焼酎の二十五度の瓶のボトルを一本買った。買った後
(あっ。お酒と薬はダメって言われたのだった)
そう思ったが、体重も増やさなくてはいけないので晩酌もしたい。結局ちょっとだけ飲むことにした。家に着くと早々とつまみの準備をしてビールをゴクゴクッと飲む。この瞬間が一番幸せだと思う。一日の疲れがとれていく感じがする。だらだらと飲んだり食べたりしながら二時間位しただろうか。お風呂に入り寝る準備をする。
(寝る前に薬を飲まなくては)
結局いつもと同じ位飲酒をしてしまった。どうするか迷ったが薬を飲んでみる事にした。白い小さな錠剤。こんな物でぐっすり眠れるのだろうか。美和子はグラスに水を入れて錠剤を飲んでみる。少しするといつもは感じられない眠気みたいなものが襲ってきた。
(眠れるかもしれない)
そう思い布団に入り目をつむる。布団に吸い込まれるように身体が重くなる。そうして美和子は眠りに落ちた。
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