第2話
これが相談する事の一つ。
そうして二つ目は眠れないことも言わなくてはいけない。
目をつぶって寝入る瞬間、ガタっと椅子から落ちるような感覚になる。実際は布団で寝ているのだけど。ガタっと起きるのだ。それでまた目を覚ましてしまう。そうしてしょうがなくまた目をつぶる。この繰り返しになってしまってなかなか眠れない。寝たとしても浅い眠りで起きているのか、寝ているのか解らない状態がつづく。
(このことをお医者さんにきちんと言わないと)
美和子はこの二つの相談内容を心の中で反芻した。
「白石さん、どうぞ」
看護師さんが呼ぶ声が聞こえる。
「白石さん、白石美和子さん」
「はい」
「どうぞ」
中に入ると、美和子の親位の年齢であろうか。五十代位。小柄でがっちりとしたタイプの男性の医師が待っていた。
予め記入しておいた用紙を見ながら、医師は困った様な顔をして
「体重の問題で悩んでいる用ですね」と訊いてきた。
「はい」
「物が食べられない?」
「はい」
「夜も眠れない?」
「はい」
用意しておいた言葉がなかなか言えない。
「事務の仕事をしていると書いてありますが、仕事は行けてますか?」
「なんとか行けてます。」
美和子は職業欄に嘘を書いた。
「これ以上体重が減るようですと仕事も考えなくてはいけませんね。」
「それは困ります。」
美和子は一人暮らしをしているので仕事を辞める訳にはいかないのだ。
「では栄養をとるようにしてください。せめて体重四十キロにはならないといけませんね」
「はい。解りました」
「眠れる薬をだしておきます。これで眠れるようになると思いますよ。」
美和子はホッとした。四十キロには後三キロあるが夜眠れるようになるのは助かる。
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