頼もしい部下

乾杯!

お疲れさまでした!

じゃなくてーお久しぶりでーす!


斎藤さんに仕切りを任せて飲み会が始まった

僕も眞紀もこの面子での接し方は心得ているので、あの頃のように自然に振舞う事ができる

その事が僕はとても嬉しかった

とりとめのない話しは続くのだが、突然斎藤さんが・・・


斎 ところで課長も真木さんに報告する事があるんじゃないですか?

僕 うん、実は1年半前くらいなんだけど妻が・・・


眞紀がはっとしたが、斎藤さんが遮るように言う


斎 奥様の事については残念だったと思います

斎 でも、いい事の報告もありますよね?

僕 いい事?


まさか・・・


斎 桃ちゃんと良い感じですよね?

僕 え?それは違うだろ

斎 またまたー皆知ってる事ですよ


眞紀が汚物を見る目で僕を見ている

言い逃れと言うか、弁解の言葉を選んでいると意外な事が起こる


津 あーその話しですねー

津 藤田さんが課長の事、気になってたみたいですけど、課長断ってますよ

津 だから藤田さん、今は百瀬と付き合ってますよ


津島・・・

何故知ってるのかわからないけど、とにかくナイスだ!


斎 え?

斎 そうなんですか?

僕 僕が言う事じゃないけど、概ね津島の言ってる事は合ってる

斎 えーーーーーー

斎 そうだったんですか・・・

斎 何故、桃ちゃんを振っちゃったんですか?

斎 桃ちゃん最近可愛くなってきたじゃないですか?

僕 それは知らないけど、僕は藤田さんは部下としか見れない

僕 寧ろ自分の子供と変わらないくらいに思ってるけど・・・

斎 本当に告られて、断ったんですか?

僕 ノーコメントだけど僕は疚しい事はしてない


眞紀を見ながら言う僕

笑顔に変わる眞紀

僕は汚いものではなくなったようだ


眞 その前に野里さんの奥様って亡くなったんですか?

僕 うん、去年の4月にね

眞 そうなんですか・・・ご愁傷さまです

僕 ありがとうございます・・・


とりあえず妻が亡くなった事、藤田との関係は僕が断った事

この2つを眞紀に伝える事ができた

眞紀もさぞかし驚いた事だと思う

そして眞紀が離婚した事実を僕に伝えていないのと同じく、僕も妻と死別した事を眞紀に伝えていない事も悟っただろう


眞紀の伝えない理由は明確にはわからないが、多分僕と同じなんだろう


トルコ料理店で2時間過ごし、昔と同じ流れで二次会へ向かおうとしたのだが、またもここで津島が活躍してくれる


津 申し訳ないんですけど、俺明日早いんで今日はこれで失礼します

津 真木さん、また遊びに来たら声かけてくださいね


颯爽と立ち去る津島

今日ほど津島の事を素晴らしいと思った事はない

もう惚れてしまいそうなくらい、津島は完璧に僕の都合に合わせてくれていた

無論、事前に打ち合わせやお願いなど一切していないのだが


僕 じゃあ僕も帰るよ、真木さんはどうするの?

眞 私は姉のところに泊まるので、もう移動します

僕 じゃあまた

眞 おやすみなさい

斎 おつかれさまでした


僕達は散会したが、僕はきっと来てくれると信じて待った

東横線ホームの1番前



1時間後、僕と眞紀は綱島へ移動し以前飲んだ店で二次会をはじめていた



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