説教部屋
何日か経った
宮崎さんから
宮 野里課長、ちょっといいでしょうか?
僕 いいですけど・・・
僕 僕何かしましたか?
宮 とにかくこちらへ
説教部屋へ二人で移動
宮 野里課長は藤田に何をしたんですか?
僕 は?
僕 何それ?
宮 だから藤田に何を言ったんですか?
僕 んー
僕 一回二人で飲みに行ったかな
宮 それは知ってます
僕 知ってるのかよ?
宮 その時に何か言ったりしたりしましたか?
僕 神に誓って疚しい事はないけど
宮 そうですよね・・・
僕 なんで?
宮 実は藤田がやる気になってるんですよ
僕 ほう
僕 それはいい事なんじゃないの?
宮 そうなんですけど、何故やる気になってるか分かってますか?
僕 いや、知らんけど
宮崎さんは僕を睨みながら続けた
宮 藤田は野里課長に認められたいから頑張ってるんですよ
僕 何を根拠にそんな事を言うの?
宮 藤田本人が公言してるから
僕 ・・・
さらに宮崎さんは続ける
宮 藤田が離婚してるの聞いてますよね?
僕 うん、飲んだ時に聞いた
宮 社内ではまだ公になってないけど、藤田はバツイチなんです
僕 それで?
宮 どうやら藤田は同じバツイチの野里課長に認められたいらしいのです
僕 は?
宮 課長、なんか思わせぶりな事したでしょ?
宮 あの娘は惚れっぽいんだから、そういう事しないでください!
僕 してない、そんな事一切してない
宮 でもあの娘はそういうつもりですよ!
僕 そんなん知らんがな・・・
宮 そもそも課長に対する態度が変わったでしょう?
僕 ・・・・・・・・・
僕 言われてみれば・・・
確かに最近、やたら話しかけられるし、努力した事を報告してくるから良かれと思って褒めたりしていた
でも、それは部下に対する普通の態度だと思うのだが・・・
僕 なんか誤解してるみたいだけど、僕は未だ嫁さん亡くしてから1年なの
僕 宮崎さん、それ解ってる?
宮 それは・・・
僕 そもそも僕が社内の女性に手を出すとか思ってるわけ?
宮 思ってません
僕 必要があれば僕から藤田さんに話すけど、できればどうにかしてくれない?
宮 わかった、私から言っておきます
宮 課長は社内の女性に見境なく手を出したりするタイプじゃないですもんね
僕 わかってくれればいいです
僕 あとの事はよろしく
宮 わかりました
僕は説教部屋を出ようとした
宮 課長
僕 何?
宮 どうもすいませんでした
僕 いいよ、でも誤解は解いておいてね
僕は眞紀との件を高い高い棚に上げ、偉そうに釈明していた
藤田さんも、僕に認めてもらおうと頑張るなんて可愛い所があるもんだ
しかし彼女では眞紀や妻の代わりになれる事はない
唯一勝っているのは若さと胸の大きさだろうが、比べるには申し訳ないくらいにその差は大きすぎる
藤田さんが悪いわけではない
眞紀が偉大すぎるだけなのだ
勿論、亡き妻もである
それでも藤田さんが仕事に熱中する事は良い事だ
このままいけば、藤田さんの冠詞に“あの”が付く事もいずれなくなるだろう
そして彼女はまだまだ若い
次の相手もいずれ見つける事だろう
僕は彼女の側を一瞬通り過ぎたオトナ
そんな風に将来思ってもらえれば本望だと思う
あとは宮崎女史にしっかりと誤解を解いてもらえば、これで一件落着となるはずだった
はずだったのだが・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます