第2章 私の未来の旦那様!

第14話 過去


 私には生まれた時から、将来を添い遂げる許嫁が、決まっていました。

 いいとかわるいとかではなく、そういうものだと思っています。


 たまに島に遊びにくるオジサマは、いつも御父様とお酒を飲みながらその話をなさっていました。


「ルゥちゃん、浩一郎はちょっととっつきにくいけど良い奴だからな!」


 オジサマはそう言って笑っていらっしゃいました。

 そんな断片的なお話と、たった一枚の写真。それが私の知る、浩一郎さんの全てでした。


 浩一郎さんは、体のサイズに合っていない黒い服を着て、居心地悪そうに、むすっとした顔で写真に収まっていました。

 この時の写真は15歳の時のもの、らしいです。


 生まれたばかりの私が浩一郎さんと出会ったのと同じ年の写真。


 今の私が9歳ですから、今は24歳ですね。

 写真からは気難しそうな印象を受けますが、オジサマは良い奴だ、と言います。

 オジサマは私に嘘をつきませんから、きっと良い人なのでしょう。


 私の許嫁。結婚相手。旦那様。

 いつ、どのようにして、出逢うことになるのでしょうか。


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