第7話 登校

 初登校の日。

 転校初日が始業式でよかったよな。

 学期の途中よりは、まだクラスに馴染みやすいだろ。


「あー、緊張してきたー」

「どうして浩一郎さんの方が緊張していマスカ?」

「ルゥさんは余裕あるなあ」


 3年次から中学に転入。しかも他国から。

 いじめとか大丈夫だろうか。

 最近の、スクールカーストとかいうやつとか。

 うちのルゥさんは可愛いから不良に目をつけられたりとかいう可能性もある。


「不安だ!!」

「大丈夫デスヨ!」


 屈託のな笑顔を見せてくれるルゥさん。どこにそんな自信が。


「オジサマ――浩一郎サンの御父様――が言ってまシタ。浩一郎の母校だから大丈夫だよ、ッテ」


 親父テキトーすぎぃ!

 そんでルゥさん信じすぎぃ!

 確かに俺の在学していた代はまあまあ大人しかったけどさあ!(俺以外は)

 時代が違うだろ時代が!


 ニコニコ笑っているルゥさんは、頭痛をこらえる俺を見て、

「はじめて会った時もそうでしたケド、眼鏡でスーツ姿の浩一郎さん、素敵デスネ」


 素敵とか初めて言われたわ! 

 子供相手でも嬉しい。頭痛どっか行ったわ! 


 実にどうでもいい話だが、俺は目つきが悪過ぎるので、少しでも目線が和らぐように伊達眼鏡をかけているのである。仕事の時だけな。

 つまり、今日は仕事なわけだが午前休をもらって学校での要件を済ますために向かっているのだ。

 その要件というのが、

「学年主任と担任の先生との面談、だっけ?}

「そうみたいデスネ」

「やっぱ緊張するわ」

 職員室と先生には良い思い出があまりない。生徒指導室も然り。酷かったからなああの頃の俺は。

「大丈夫デスよ!」

 お腹痛くなってきている俺の横でルゥさんは終始にっこにこである。

 大物だわ、ほんとにこの子。

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