それから12月24日に。

 

切実に

星の使いのクリスマス







「ツリーのてっぺんに、星がついてるせいだな。このイベントでも忙しいんだわ、俺ら」



 って言って、笑ってた。



 星に願いを届ける『星の使い』の、お仕事って。

 サンタさんに手紙を届ける郵便屋さんよりも、うんと、いそがしそうなんだ。



 だから、これ。役に立つといいな。



 少しふくらんだ、うす青の大きな肩掛け鞄。

 こうのとり便の特製缶バッチに、大きなツリーの灯りが光る。


 アーケードの飾りの下、サンタ帽子を落とさないように頭を押さえて走ってく。

 


 僕も、配達中は、サンタだ。



 ただの手伝いだけど。帽子だけだけど。

 今日はサンタさんになって。

 最後のひとつを届けるところ。



 アーケードを抜けて、立ち止まって、広場の時計塔を見上げた。


 どこかの街の時計塔には雪が積もってるのかな?

 毎年この街では、十二月には雪は降らない。

 でも寒いから、きっと……。



 ほら、こっちへ白い点が、時計塔から舞い降りた。



 僕は鞄から魔法瓶と、リボンがかかった紙袋を取り出す。

 僕と弟で作ったココアと、お届け物の紙袋。


 受け取りのサインをしたら、白い上着を広げて僕の前から跳んでった。



 白い息の向こう。赤い、ほっぺたは……


 だよね。




「ご苦労様……なによ? もういいから、早く帰んなさい」だって。


 サンタ帽子をかぶり直して、リコ姉は配達自転車に乗る。

 僕は、見送って。



「似合うよ、白い手ぶくろ」



 二人とも。






 切実に 星の使いのクリスマス

『それから12月24日に。』 おしまい 

 

 次のお話は、

『そして12月25日は。』です。







 

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