来世でも愛してくれる? ②


「オムライス焦がしちゃうほど、難しいんだね、その探してる人」


「……そうですね」


「どんな人かわかったら、見かけた時教えてあげられるのに」


「見た目は……たぶん、かっこよくない人だと思います」


「ええ?」


「イケメンじゃないし、多分地味で、人からは嫌われるタイプ……」


「えええ!?」


「でも、目の中に優しさと輝きがあるんだと、思います」


「……なんだそりゃ。名前なんて言うの?」


「知らないです」


「え、街中で一目惚れしたとかそういう系?」


「違います」


「じゃあどんな……」


「夢に、出てくる人です」


自分で言って、顔が赤くなってく感覚がわかる。

こんな話他人としたことないから……すごく恥ずかしいし、なんか痛々しい夢を見ちゃってる女だと思われてんのかなとか思ったりして、気が狂いそうになる。


またオムライスを焦がさないように、だけ集中したい。


「私も、そういう意味では探してる人いるな」


「え、そうなんですか」


「うん、うちのパパなんだけど……」


「……?」


「私が5歳くらいの時に死んじゃって……生まれ変わったパパを探してるの。すぐ生まれ変わってたとしたら5歳下かなぁ。ウミちゃんと同い年くらい。」


「……大変なんですね」


「うん、パパ大好きだったからねぇ」


一気に空気が重くなる。

先輩もこういう一面あるんだ……なんて思いつつパッと客席を見てると、さっきのお客様に睨まれていた。













バイト上がり、ゆっくり歩く。

まだ暖かくなったばっかで、夜はちょっと肌寒い。


「えー、あの人可愛い」


道行く人の声が聞こえる。


聞き飽きた「可愛い」の言葉、何も嬉しくない。

耳を塞ぎたくなって、イヤホンを付けた。

Spotifyのトップにでてきた知らない曲を聞いてみる。

―――意外といい曲だ、なんて思って誰の曲か確認すると、PALの文字。


あぁ、これがさっき先輩が言ってた……PAL。


ジャケットには、笑う5人の美少女たち。

その中でも、やっぱ青の子がいちばん可愛い。


なんとなく気になって、道の端で立ち止まり、GoogleでPALと入れてみる。


メンバーの名前がバッと表示されて、その中から青い子の名前を選ぶ。


「……セカイ」


本名 芹野 カイリ。

20歳でPAL脱退、享年22歳。


その表示で背筋が凍る。


亡くなってたんだ……そう口に出しそうになった。

なんで?って思って[PAL セカイ 死因]と調べようと思って、やっぱりやめた。


人の死の理由なんて調べるもんじゃないし、知るもんじゃない。

なんだか気分が悪くなってきたので、Spotifyの再生を止め歩き出す。


「あの、すいません!」


「……なんですか」


「そのブロンドみたいな髪色、めっちゃ綺麗ですね。なんてオーダーしてるんですか?」


「……地毛なんで。」




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