陽射 ①

あれは、ビックリするくらい陽射ひざしの強い、暑くて苦しいような春の日だった。


「――と居ると、いつも笑顔でいられて、幸せな気持ちになれるんだ。」


風になびく白いワンピースと、

対照的に落ち着いている黒髪が印象的だった。

そんな彼女は、息を大きく吸って続けた。


「私、――の事が好きです。よかったら、付き合ってください。」


人生で初めて、告白された。

そしてそれは、相手にとっても人生で初めての告白だった。


暑いからか、緊張しているからかは、わからない。

ただただ、額に激しい汗が湧いて止まらなかった。


「…少し、考えさせてくれませんか」


数十秒の無言の末に、俺が出したアンサーはコレだった。


「もちろん」


彼女はニカッと笑った。

強すぎる陽射しも、彼女の笑顔も、眩しい。




それから俺は、ずっと考え続けた。


俺は、きっと彼女の思っているような人間じゃない。

そんな人間じゃないから、付き合えない―?

それは違う、俺は、彼女の事が好きだ。


好き、それは明確な答えの1つでもあった。


が、しかし、俺は期待外れの人間だということが、俺の中で答えを曇らせる。


何より俺は、彼女の親友達が狂う程に嫌いなんだ。

特に原因はない。何が嫌いとかでもない。

ただただ、嫌いすぎるんだ。


そんな俺が、彼女と付き合って、

彼女を不幸にさせないか。


堂々巡りで考えているうちに、夜が明けては眠り、また明けては眠りを繰り返し、1週間経っていた。


その1週間の間、彼女とは3回ほど、彼女の親友を混ぜて遊んだりもした。

ただ、彼女は何事も無かったかのように、いつも通り接してくるもんだから。


告白した事を忘れてしまったんじゃないか、なんて事も考えた。



また、陽射しが強すぎて苦しいような日。

あれから1週間と2日。


俺は、彼女に、答えを出した。


「俺も――と一緒にいてすごく楽しい、俺でよければ付き合ってください。」


瞬間、笑顔になった彼女をみて。


俺は、一生この子を守ろうと心に誓った。


誓ったはずだった――。





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