コドモ

わたあめと花火①


「…よっ。」


「よっ。」


心の底、冷めきったまま、愛も興味もない挨拶を交わす。


「今日、暑いね。」


「そうかな。」


「そうだよ。」


「涼しいよ。」


いつも否定っぽく返事をする君が、やっぱり私は嫌いだ。


なんだか悲しさを感じて、右を向いて……

君の顔を見るけど、目は合わない。


「…見ないでくれる?」


その、渇き切った唇から放たれる言葉一つ一つが私の湿った心に突き刺さる。






何度目の花火大会だろうか。


15歳の夏、君と出会ってから初めて見た毎年恒例の花火は、今まで以上に輝いて見えたんだ。

君越しに見えるその花火と君に、私は心を奪われた。


16歳の夏も同じで


17歳の夏も同じで。


18歳の夏はマンネリを超えて、まるで夫婦みたいな感覚になって。


19歳の夏には、花火にも見なれてしまった。



そして今日、20歳の夏。

君と最後の花火を見るんだ。







「ちょっとコンビニ寄らない?」


最後くらいいい思い出にしたくて、無理くりな笑顔をうかべて明るく接する私と、


「勝手にしなよ」


最後まで突き放して、笑顔すら浮かべない冷めきった君。


結局、こんなもんなんだ。

恋愛という、儚い花火みたいなものは。

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