第3話
現代社会の面白いところは遠い過去の、人類がまともに病気すら克服できない、子供が十人生まれたら一人か二人しか生き残れない状況で生まれたモラルの概念などを、未だに何も疑うことなく使っていることなんだと思います。
それすらもなかったら混沌とした状態になってしまうかもしれない恐怖でもあるのでしょうか。
かつて私が殺した人たちから見たのは殺されるべき人間、殺そうとして死んでしまう人間は普段から性懲りもなく現実をそんな恐怖で塗りつぶした考え方をしていることでしたね。ただ一人の例外もなく、不安に駆り建てられ、やっちゃいけない、手を出してはいけないところに手を出して破滅に近づいていきます。
こういう話がありました。
あるところにロマンティストな若い男性がおりました。彼は社長令嬢と恋に落ち、果敢かかんにも駆け落ちをしましたが、そこまで恋に執着する理由が私にはわかりません。
恋や愛だけで生きられないとか、現実を見ろとか、そういう話ではなく、そもそも愛や恋のために殉教してしまう概念自体が、恋を成就することすら叶わなかった時代の産物に過ぎないことを全く理解していませんでした。
身分なんてもんは存在しない現代なんだからそんなに欲しけりゃ、専門職にでもなれば釣り合いが取れます。
だから若い二人の思い込みは実際身分制度があって、一度恋してしまったら終わってしまう時代の感受性に過ぎないのです。
それに世の中にどれだけの数の異性が存在しているのかも、全く考慮してないのは紛れもないあの愛だの恋だのに目がくらんだ若い二人なのです。
そしてその男性は私が仕事として処理した結果、死亡しました。あの娘さんの父である社長からもらった仕事だったのです。痕跡なんて残ることなく、ただの事故として処理されました。
実際証拠も証人もなく、その社長さんとの約束は書類上すらも残ってないです。殺し屋の業界で書類やその他もろもろの証拠を残すのは二流です。
一流は信用だけですべてがまかり通ります。公権力にばれたら終わり、死なば諸共などとほざいていたら逆にそんな奴は危険であると判断されるため、仕事をもらえなくなります。
まあ、チンピラ見たいな連中を専門的につぶしてしまうただの暴力団に雇用されるヒットマンなら、そんな無鉄砲な態度でもやっていけるかもしれませんけどね。
私の顧客の殆どは上流社会の人でしたね。その分もらう報酬の金額も少なくなかったです。
誰彼構わず殺して回る、見境のない典型的な悪役とは違ったのです。
そしてその仕事はどんな感じだったかと言うと。
いつものごとく彼の行動パターンをチェックしてから万が一の目撃者から逃れるために変装、全くの偶然を装い接近しました。
街の郵送ルーツとして一番使われる高速道路があります。それに隣接した道路にも横断歩道はありまして。
その前でトラックが通るのを待ち、それなりに高スピードで運転しているトラックが接近するのを計算します。
そして周りから見えないように背中をそっと押しました。
次の瞬間人間ひき肉の出来上がりです。
できれば自分でひき肉にしたかったんだが、目立つことは避けないと長生きできない。
いや、結局長生きできなかったから目立っていただろうな。
それから社長令嬢さんがどうなったか。男を追って自殺? ないですね。傷心したのも束の間、何年後は無難に専門職の男性と結婚して幸せに暮らしていたんです。子供も作ってね。それが現実です。
彼女にとって過去の出来事なんてただの思い出として残っているんでしょう。不幸な事故に遭った夢見る男とのロマンティックなひと時。それは夢であっても現実にはなりえないのです。
現代になってから人口は急激に増え、自らをコントロールすることすらできなくなった人もそれだけたくさん生まれてしまいます。
それ自体が現代社会を生きる人達にとってある種の危機感を煽ることでもあるのでしょう。そいつらの内面は平和に見えても、実情は結構危ういです。
混沌とした無意識の上に建てられ、崩れやすい金字塔となってしまいます。
それでも硬いところはとことん硬く、モラルの基本ラインとして存在し続けているところは問題なく存在し続けていますし、人類社会の形が根本的に変わらない限り動けないところは何があっても動くことはないでしょう。
つまり今でも壊れそうな土台の上であったとしても、秘境の文化遺産のごとく簡単には壊れない場合も決して少なくはなく。
そもそも守ろうとしている人達がいる限り、彼らの犠牲の上で何だかんだで社会は回ります。
その犠牲を当たり前と取るか、不自然であるとわかってしまうかは個人の力量にもよりますが。
なんで私が初っ端からこんなことを考えているかと言うと、小学校に進学したまでは良かったものの、4年生までは平和に暮らしていましたが、そこからクラス内でいじめが行われることを目撃してしまったからだったりします。
私は所謂いわゆるエスカレーター式のお嬢様学校とやらに入学することにしました。
保護者は地元の不動産会社の社長(洗脳済み)で、今時地上げ屋などのろくでもない連中とつるんでいたので、ヤクザモドキは全員自首させて、美人で頭空っぽな奥さんと子供たちには、今までいい思いをしていた分だけ苦労しながら生きるように、浮気現場を見たという偽物の記憶を植え付けました。
それだけで苦労するわけじゃないので、奥さんが離婚した後は、貰った慰謝料で創業するも失敗し続ける呪いにかかってしまい…。
と言うのも、彼女は実際事業を起こしたわけではなく、そういう記憶を定期的に植え付けてから私がお金を回収しているだけです。
少なくない金額が飛んで行き、最後は自分の力で仕事をするかほかに稼ぎのいい男を捕まるしかないでしょう。
今もそこそこの資産は持っていて、成人した後大学も卒業して仕事を見つかるまでは問題ないですが、お金は欲しいです。不安だからとか、金があると融通が利くとか、そんなバカな理由ではありません。
銀行に詰め込んでお金を腐らせるのは銀行を調子に乗らせてしまいます。だから私は将来性のある企業に投資をすることにしているのです。
前世からの嗜みでございます。企業との繋がりは仕事も作りやすいですし、資産家としての品格にも繋がるので、お金はすべて現金にして金庫に詰め込む、無駄に歳だけ取った老人が気持ち悪いのと同じく、投資しない金持ちは財産だけある中流階級の考え方を持った人間でしかないのです。
別にそれがどうこう言う話ではなく、悪魔にも悪魔の美学があるように私にも私の美学があるだけです、はい。
そんな感じでいろいろありましたが、要するに平凡で無難な暮らしがしたい私は、自分の幸せのために惜しみなくつぎ込んだほうがいいことに気が付いてしまっただけであります。
中流家庭の子供たちが行く進学校やらは、変に自意識だけ発達してしまった、能力もないくせに自らを特別な存在であると思いこむ癖があるやつらがうじゃうじゃと湧いてきます。
昔からそんな感じです。程度に差はあれど、気取った喋り方や動作は見ていて気持ち悪いです。
中世の貴族のような生活に憧れているあほな連中なのです。立場自体が似てはいます。中世だと貴族が最上位だと勘違いしやすいですが、最上位は聖職者であり、貴族はその下に位置します。
日本だと神道の最上位に天皇陛下がいて、幕府がその下にある感じです。
まあ、日本はその最上位が少数過ぎましたが、欧州だと聖職者はそれなりにいました。どれだけいたかと言うと一つの国に数百人以上はいました。
どうでもいい薀蓄うんちくはこれくらいにして、中流階級の人間はそれなりの教養を身に着け、しょうもないことに精を出すのが一般的です。
一億総中流などと言う、ありもしない幻影を見ている人もいますが、現実は明らかに分かたれいているのです。
中流階級の人達は社会制度の改革などに全く興味がなく、基本的に保守的です。
頭だけが以上に固く、シニカルな態度を維持しながらも心の中ではいい子ちゃんぶってます。気持ち悪くて相手にしたくありません。
殺意が湧きだしてくるのを抑えられる自信がないのです。
今の私は普通に超能力で殺意だけで心臓を強制的に停止させることもできそうなので、シャレにならないのです。
私は別に社会を破壊したいわけではありませんからね。サイコパスは別に社会と敵対する関係ではないのです。
小学生たちを虐殺するなど、あほくさいことを平然とやってのけることでストレス発散などをしちゃうあほなサイコパスもいますが、一般的に私みたいなサイコパスは社会をそもそも中に入るものとして認識していない、だからいつでも誰でも捨てることのできる人間に過ぎません。
社会内の全ての出来事を冷めた目で見ていて、誰であれ邪魔するやつには容赦しないのです。
案外経営者などに向いていたりします。
話を戻しましょう。それで残るのが上流社会に行くか下の方に向かうかの二択になりまして。
労働者や低所得家庭の子供たちが集まる底辺には、それこそ底辺過ぎて話にならないのです。ちょっとでも目を離してしまったら妊娠しちゃうのが普通と言う、どこの途上国だよと突っ込みたくなるものでして。
私には棒なんて付いてないので、突っ込みたくても突っ込めないのです。
そんな誰も笑わないくだらない冗談を言ってられるのも私が金持ちが集まる学校に通うことになったのが原因です。
まあ、現世で私を虐待してから私に惨たらしく殺されてしまった親もその辺だったので、そっちとはなるべく関わりたくないというのが本音ですね。
結果エスカレーター式のお嬢様学校に行くことになったという話です。
どういう学校かと言うと、教育そのものが北欧のように素晴らしい学校なわけではなく、腐るほどのお金を持つ臭いお金持ち共の寄付金で作り上げた施設だけは豪華な学校です。
礼儀作法なども教えちゃう、どこの貴族かと見まがうほどの雰囲気ですが、取り繕ったところでガキはガキ。
当然のように感情の制御なんてできるわけがなく、我儘を地で行くなんちゃってお嬢様も少なくありません。
ただここに通ってる子たちはそもそも豊な環境で育っているので、常識しらずな集団であっても他とぶつかることは殆どありません。
政治的な衝突は決められた生産物をどう取り分けるのか、突き詰めるとそれに帰結します。皆が自分の分をたくさん持っているとなると争いなんて滅多に起こらないものなんですよ。
だから争いのない平和な世の中が欲しい人達は生産活動に従事すればいいという話です。
冗談です。
争いの原因は時代によって違います。似てるように見えても違います。根底にあるのが同じであっても表層に現れる時には違う形を取ってしまうのです。
閑話休題です。
そんな感じでほぼ全員が全員、自らが属した派閥と言うか、集団の中で平和に暮らしているのがお嬢様学校です。私が望んだ平和そのものです。
もう血生臭いことなんて面倒くさくなってしまった私にとっては心地良いことこの上ない。
教師には偏屈で変人が多く、お嬢様学校の教師であることをまるで何かのステータスかのように思いこんでいる、ちょっと可哀想な思考の持ち主が大半です。それと同時に普通に有能な人も多いですけどね。
そりゃお金をつぎ込んだ分、頭の回る人間が来ないはずがないですよね。
実際教育レベルは高いです。ただ入試の負担が少ない分、勉強に熱意を出してる生徒はそれこそ少数派です。
そういう派閥ってことです。勉強を面白いと思っているというより、そういう子たちは将来にエリートになるために生きている感じです。
ちなみに金持ち=エリートではありません。
エリートはエリート教育を受けて、エリートとして育てることを目標にしないとそうはなりません。
私が見たそういった人たちは国家が持つ今までの歴史や制度を背負うことを目的としていました。
彼女たちもそういった類の人間なのでしょう。要するに官僚になりたい人間がエリート教育を受けてエリートになります。
企業は時代によってトレンドが違く、市場の変動は今まで勉強したことを総合したってわかるものではありません。
世界有数の大企業を設立した人達が最初からエリートだったわけではなかったのを見てもわかるように、企業はエリート教育とは何の関係もないのです。
フランスのグランゼコールだって、卒業したら官僚にはなっても社長にはなりません。
またくだらない蘊蓄を語ってしまいましたが、そんな派閥を楽しむには丁度いい生活の中、私は読書好きでおしとやかなグループに入っています。
文字通り本を読んで感想を言い合ったり、好きな作家の話で盛り上がる、一昔前から一般的とされたお嬢様の集まりです。
緩い集まりで、積極的に互いの家に訪問したりすることはなく、お昼を一緒に食べたり遠足などで同じグループになったりするだけです。私は比較的に皆に好かれている気はしますが、多分あれです。
顔がちょっと美少女過ぎると同時に、前世の経験をいろんな場面で活かしているので、同年代の子供に比べたら動作や言葉のチョイスなどが洗練されているように見えるのが原因なんじゃないかなと。
つまりクラス内のおしとやかグループのまとめ役…、と言えなくもないでしょう。そんな私がいじめを見て憤慨したとか、まあ、話としていかにもありそうではあります。
中身が化け物であったとしても、傍から見たらいかにもお嬢様している私が関わってしまえば目立ってしまうことになるでしょう。
助ける義理も意味もあるわけがないですけど、彼女らを取り囲んでいる陰湿な恐怖が取り除けるものかどうかは確認する必要があります。
学校側から積極的に親や周りの環境から子供に壁を作って子供を守ろうとしない限り、学校は家庭内で生まれた感情の掃き溜めになってしまうものです。
一般的に大人が持つ感情のポテンシャルは子供のそれをはるかに上回ります。巡り巡って子供に向かうことになると、それを放出する都合の良い排出口を探し回ることに。
こういうくそみたいな仕組みは私が未だにモラルを無視して生きていることの正当性を与えてくれているようで、やるせない気持ちになります。
しかし私の周りでそんな汚い感情の排出をしでかすと、許せなくなるのです。
単純に言えば、大人が子供の周りでくそをすると、子供のくそより汚いのでその匂いが子供にも付いてしまい、自分についた匂いをどうにかしたい子供は、舐め腐った態度を取っても反撃してこない同年代の子供を狙い撃つことになります。
私は臭いのはいやなので、そいつの親を洗脳して子供に優しくするようにしておきました。
殺してないのは別にそいつの親が何かしら社会で重要な立場だったからなのではなく、殺しすぎると目立ってしまうかもしれないと思ったからです。
私の周りでだけ人がやけに死んじゃうと、具体的な関連性がわからなくてもいずれ私にたどり着いてしまうような人間が現れるかもしれないじゃないですか。
今度の人生では静かな安らぎを求めるようにしているので、そういう面倒ごとはやめて欲しいです。
まあ、親から愛されるようになっても、一度いじめの楽しさを経験してしまった、腐れ外道一歩手前のお子ちゃまは、匂いが落ちた後も新しく発見した玩具をそうやすやすと手放すわけには参りません。
そうするといじめられる子が臭くなり、クラスの雰囲気も気持ち悪くなってしまいます。
いくら礼儀を知らないガキどもとは言え、調子に乗りすぎると私の苛立ちがなけなしの理性をぶっちぎって、皆殺しにする可能性だって生まれてしまいます。
私は我慢強い性格ではありますが、同時に一回でも決めておいた限界を超えてしまうと誰彼構わず殺して回りたくなります。
伊達に30年以上人を殺すことを是としながら生きてきたわけではありません。と言うわけで怖い思いをさせてしまいました。
定番の校舎裏でいじめられている哀れな女の子の前にいじめっ子のみぞおちをクリーンヒット。何の前触れもなく現れた私の前にいじめっ子とその取り巻きはどう反応すればいいかわからず、顔をポカンとしてしまいます。
取り巻きの子達にはリバーブローを。女の子は殴られることにはまったく慣れてないので、痛みより精神的な衝撃が大きく、殴られる前の精神状態に復帰することはできなくなります。
男なら心理的なリカバリーにそこまで時間がかからないんですが、女の子は一度壊されたらそれを一生抱え込んで生きるようになります。
だから女の子を殴ることは社会通念としてあっちゃいけないことになってるんだよ。
それすらもわかってない死んだ父親をもっと痛み付けてなかったのが少しだけ悔しいです。その時は怒りを爆発すること以外は考えてなかったので。
と言うわけで、虐待など経験したことのない、民主主義国家でお嬢様ぶってる頭のおかしい女の子共は早々にトラウマを植え付けて、まともな人間には育てなくしておきましょう。
できればその顔もぐちゃぐちゃになるまで潰してから切り刻んで、目玉をえぐり取り噛んで潰したかったが、仕方ない。私には権限がないみたいだ。
毎日欠かさず訓練している私の拳はその辺に転がっている不良をノックダウンさせるほどのパンチ力を誇ります。ただ一発殴っただけで内蔵破裂一歩手前まで無理なく行けるでしょう。
まあ、死にはしないでしょ。死んだら死んだで私にとってはどうでもいいことですが。
「いいですか? 私の周りでバカなことをしでかしたら許しませんよ? 次はないですからね? わかりましたか?」
少女たちは壊れた機械のようにぷるぷると震えながら首を縦に振ります。
「保健室にでも行ってください。それとも歩くこともままならないくらいに痛いですか?」
横にブンブン。まあ、これ以上私に殴られたくはないということなのでしょう。暴力を味わうと人はこうなってしまうのです。
人は自分にはそういうことなんて起こりえないことが起こってしまうと泣くことも出来ずにパニックに陥ってしまいます。
いじめられている子だって私を怖がって…。
「す、すごい…」
怖がって…。
「今の、その、どうやったの? とても、すごかった。それと、その、ありがとう…。助けてくれて…」
怖がっていませんね。なんででしょう?
「ええと、はい。淑女としての嗜みです。そういうことにしましょう」
「隠すことないと思うけど…。空手か何か?」
「そうですね。空手もやってました」
「ほかにもできるんだね」
「嗜んでる程度です」
「その、高松さんでいいかな」
そうです、あの不動産会社の社長の正式に養子縁組を行い、私の名前は高松沙織になりました。
「沙織でいいですよ」
何だか懐かれてしまったような気がしなくもないです。
私、自分でもびっくりするくらいの化け物ですよ? 怖いんですよ? 人だって簡単に殺しちゃいますよ? 超能力まで使っちゃいますよ?
そういうことを言えるわけもなく。
次の日に登校しなかったいじめっ子と取り巻き達と、妙に私にべったりないじめられていた子。今更ですが、彼女の名前は浅木英里あさぎえり。父親が何とゲームクリエイターで、母親は作曲家らしいです。
いじめっ子たちはどこでその情報を仕入れたのかは知りませんが、そっちからしたらゲームクリエイターは後ろ盾がないことだとガキの分際で一丁前に頭を回したようで。
普段何もないところでニヤニヤしたり、どこのグループにも所属していない英里ちゃんは簡単に標的にされ、数々の嫌がらせを受けてしまったわけです。
例えば教科書に大きな字で落書きをされたり、ノートや筆箱をゴミ箱に入れられたりですね。
それくらいは可愛いものと見えなくもないですが、こういうのは放っておくとエスカレートしてしまいます。エスカレーター学校なだけにエスカレート。
すみません。最近は周りで冗談を言う子もいないものでして。テレビでも見たほうがいいんでしょうかね。前世から一度も家の中にテレビを置いたことがなくて…。
彼女と会話してみて分かったんですが、短い間ながらも、大人しく見えて結構破天荒な性格なのが不思議な感じです。前世では見たことのないタイプです。
この時は知りませんでしたが、後で彼女から聞いてわかりました。彼女のような人をオタクと言うんですよね。
「オタクだからいじめられたんじゃないかな」などと英里ちゃんはいじめをまるで当たり前のように受け入れていたようです。
そんな理不尽なこともあるものなんですね。理不尽の権化たる私が言うのも変ですが。
彼女は顔も結構可愛く、目鼻立ちはくっきりとしていて、小学校4年生ながら発育もいいです。運動神経も悪くないし、成績も調べてみたらあのエリート志望の子達に引けを取らない程でした。
私ですか? トップですよ? 当たり前じゃないですか。小学生レベルの勉強なんて、精神年齢40代のおばさんができなくしてどうしますかって話ですよ。
まあ、一応これからも彼女の言う通りならオタクはいじめられるものらしくて、何かあるかもしれないと言うことで、彼女は一応私に付き添う形で読書家グループに入ることにしました。
たまにほっぺにキスされたりもしますが、こういう経験が全くないのでどう反応すればいいかがわかりません。
ただ、何というか。
悪くないです。こういう子に好かれるのは。こんなに可愛いのになんでオタクがいじめられるのか、ちょっと意味不明です。
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