AWORL編

第一話 現実に戻る

ここはどこだ……

俺はどこにいるんだ……?

確か……AWORL(エービック)シリーズの世界に行って、アルナに会って……舞と瑞希とも合流して……俺は今何してるんだ?


「剣城君!剣城君!起きて!」



なんだ……?

声が聞こえる……舞か

どしたんだよ、そんなに急いでさ……

俺はもう少し寝たいんだよ。


「剣城君!私達、殺されそうになったんだよ!!」


舞らしき者は必死に劍を起こそうと本当か嘘か分からない事をひたすら言葉にする。

だが剣城の記憶ではマテリアルの領地に戻ろうと1日森の中で休んでいるはず、しかも兵士が見張っているため何かあればすぐに起こしてくれる。

だが、今は兵士の声もしない。

でも何かおかしい

剣城は自分の体がとても重く、とても意識が深い所まできている。

剣城は不思議に思い、必死に体を起こそうとする、なんとか意識がまだ完全には戻っていないが目を開けれる程度には意識が回復する。

目の前には舞と瑞希がいた。

だが、


「ここはどこなんだ……?俺はAWORLシリーズの世界に行ったはずじゃ……」


剣城が見た景色はあまりにも衝撃的な景色であり、なぜ自分がそこにいるか分からない。

そんな劍に瑞希が話しかける。


「やっとここが分かったようね。貴方は分かると思うけど研究室よ、現実のね」

「ど、どうして俺はこんな所にいんだよ!確かに俺は死んでないはずだぞ!」


必死に抵抗する剣城の心を折ったのはこのゲームの開発者である黒崎梨夢くろざきりむである。


「お前は確かにあっている。死んではない、死ぬ寸前まであの神階のゼフィンに殺られたんだ」

「何言ってんだよ……俺は確かに勝ったぞ!!」

「あれは敵の神階が見せた空想の世界だ。神階は一人一人に異常な程の強い個性を持っている、その1つが無空想だ」

「なんだよ、それ……」

「お前があのゼフィンかミルフィスか知らんが追い詰めたのは事実だが、そこに神階達4人がやってきた。その4人はボーラ、ギボルト、ガノン、ナフィだ」

「なんで梨夢さんがあの世界の情報を知ってんだよ!確かゲーム内の情報は分からないはずじゃ……」


梨夢はその言葉を待っていた様にすぐに梨夢の体が動き、モニターにある情報を映し出す。

そのモニターある情報を見た剣城は驚いた顔をする。


「なんだよ、これ……」

「実はお前達がゲームに入った時に、ゲームウイルスを仕込んでおいた。ゲームウイルスはあるゲームに入るとそのゲームのシステムを全て知る事ができる。これが知った情報だ」

「私達も最初は驚いたけど、納得するしかなかったのよ……

「なんだよ……」


そのモニターには死亡した死者の数、どの階がどれほど強いのか、管理状況、システムの変更点、全体権限の取得者などであった。


「まぁこれはあくまでお前達の視界範囲以内で読み取れた情報だ。ゲームウイルスはまだ万全状態じゃないからな……」

「梨夢さん……俺らはどうすればいんだ?」

「お前はどうしたい?敵から殺されそうになった瞬間に俺がお前らをこの世界に戻した、だが今向こうの世界ではもちろん他の階が戦っている。どうするかは自由だぞ?」



やる事は決まってる……

またあの世界に行ってあの世界にいる人達を救い、なおかつAWORLの世界を救う。

俺に出来るのはこれくらいだ。


こうして剣城は元の世界に戻る事を決意する。


「俺は戻ります。SDSLシリーズでは俺は1度死んだ、だがこの世界ではまだ死んでない。まぁ例え死んだとしても何度でも生き返って救ってやる」


そんな事を俺が言うと舞と瑞希も「私ももちろんやるわ!」「剣城君がやるのに私がやらないなんて事はないわ!」などと2人も一緒に来てくれるそうだ。


「お前達ならそう言ってくれると思ったよ。後、1つお前達に言わなければならない事がある」


3人は頭を抱えながら、梨夢の話を聞く。


「あの世界でお前達と仲良くしていたアルナの事だ」

「アルナ……」

「アルナですか……?」

「アルナは死んだんですか!?」


素直に聞く剣城に梨夢は衝撃の事実を伝える


「アルナは生きている。正確にはこの世界にいる」

「どういうことですか?」

「簡単な話だ。アルナは元々この世界の人であり、AWORLの世界に入ったって事だ。もちろんゲームウイルスのおかげでその情報が手に入りこの世界にアルナが死ぬ前に連れ戻したんだがな」

「そういう事か……」

「よかった……本当に、本当に良かった……」

「そんでアルナとは連絡を取り合って明日にはこの研究室に来るそうだ。少し俺と話してからもう一度AWORLの世界に行く予定だ、お前達はいつ行く?現実世界との時間はかなり遅くしている」

「もちろん、今から行く」

「そう言ってくれると思った。なら今から準備をするから別のカプセルの所まで来てくれ」

「了解」


こうして3人はすぐにAWORLシリーズに行く事にし、世界を救おうとするのである。

だがこの時は誰も梨夢の野望について知らなかった。のちのちアルナがあんな事になるとは梨夢以外は予想が出来なかったのである。







《あとがき》

今回の編でAWORL編は終わりになるのでぜひ最後まで見てくれると嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る