第二話 光階カイルド・スイル

魔階のマルメーネは、黒階のアイリスと黒階のステラとその他兵士を連れ、魔階のザァークが天階トルトスの占領に時間を掛けている間に、光階のカイルド・スイルの占領に行くのである。


「もうだいぶ天階トルトスから離れたわね」


マルメーネは落ち着きがない性格なのでいちいち黒階のアイリスや黒階のステラに現状報告をしてくるのである。

黒階のアイリスは、マルメーネの事を尊敬しているがそこら辺の性格は嫌いな部類に入るので、いつも適当な言葉を返している。


「はいはーい。ところでステラ、ザァーク様とシエルは大丈夫なのかしら。心配だわ……」


魔階のザァークはマテリアルの中でもほぼ無敵と呼ばれるほどの強さなので心配はないと思うが既に、ザァーク達と離れてから1時間が経っているため戦闘の行方が心配になる。


「きっと大丈夫よ。あのザァーク様だもん、ってかもうすぐ着くよ」

「そうよね。大丈夫よね……あそこが光階スイル……」


実は、2つの攻略に向かうと言っていたがさすがに2つ一気に落とす戦力はもうマテリアルにはないので1つずつ攻略して、戦闘が終わったザァーク達と合流し、更にフェアリアと盟階を結んだアルナとテリアルと合流し、インフェルスを攻略する予定なのである。


「アイリス、ステラ……気をつけて、敵がいる。あれは……多分光階だと思うわ」

「光階か……ステラと2人でここを攻略しに行ってもいいですか?マルメーネ様」



確かにここは防御が薄い……

でもこのままアイリスとテスラを行かして、敵の戦略が急に何らかの影響で多くなれば黒階2人では絶対に勝てない……

少なくとも敵の天階は残り11人、光階は22人もいる。


インフェルスは戦力に関しては4つの階の中でもトップ、いや圧倒的戦力を保持している。

そのため人数もマテリアルやフェアリアとは格が違う。

そのためマルメーネは迷った末に、残りの戦力も考えマルメーネを含めた今いる軍、全員で攻撃する事にするのである。


「ここは私達、別階隊べっかいたいの全員でやるわよ。確かに二手に分かれた方がいいかもしれないけれど敵は未知数、一気に潰した方が早いわ」

「マルメーネの命に従います」

「私もです」



どうやって攻略しようか……

敵は、光階のカインのみ。

他は雑魚兵士共、これはアイリスで全体攻撃をした後、ステラと私で残りの敵をやった方が早いわね。


「アイリス、光階スイルの領地を分散して」

「了解しました」


こうして範囲攻撃が得意なアイリスは、光階スイルの領地の分散を実行する。


「さぁ、行くわよ!暁楴地シンチジン!」


アイリスの技の発動により、光階スイルの領地の地面が割れ始める。

光階カインが敵襲だと気付くがそれはもう既に遅く、地面は完璧に割れ、次々と兵士が奈落の底に落ちていく。


「ステラ今よ!一気に決めて!」


アイリスの掛け声と共に、ステラは光階カインに速攻をかける。


「はぁぁぁぁ!!!無瞑透ムメイトウ透瞬化とうしんか!」


ステラ愛用の無瞑透ムメイトウを使い、技を出す。

ステラは姿を5秒間だけ消せ、その間に運動神経が5倍になる透瞬化とうしんかを使い、浮遊魔法を解きながら降下する。

その降下スピードと透瞬化とうしんかの身体能力5倍により、ものすごい速度で光階カインに攻撃する。

カインはステラの攻撃に気付くがステラは既にカインの目の前におり、ステラが勝ちを確信した時、悲劇は起こった。


「敵か……しょうがないな……俺が殺してやるよ、神煌斬メルフィルルーフ


誰か分からない声がステラに聞こえ、その直後にステラは一言も喋らずに意識を失ったのか分からないが、アイリスの焼楴地シンチジンの技により割れた地面の中に落ちていったのである。


「えっ……ステラ!!」


アイリスはステラと幼馴染のため、人一倍ステラの事が好きだった。

そのため、アイリスは敵が近くにいる事も忘れ奈落の底に急降下して向かおうとする。


「アイリス!落ち着け!今はそんな事をしている場合じゃない。確かに辛いが今は耐えて……」

「マルメーネ様……でも、でも……」


止めに入るマルメーネの言葉にアイリスは、何も言えなくなり戦闘を忘れ泣いてしまうアイリス



なんて力だ……

ステラの技は確かに決まったはず、あの光階カインがそこまで強いのか?

そんなはずはない。

じゃ誰がやったんだ……他に敵はいないはず。

待てよ……ま、まさか……


「おい!そこの者!お前が我らの軍の黒階をやったのか!」


光階カインはビビりながらひたすら首を振る。

マルメーネは光階カインの態度に、いやな予感が的中した様な気がする。


「まさか……本当に神階がいるのか……」


マルメーネがそれを口にした瞬間、マルメーネの横にある男が現れたのである。


「神階か……中々いい勘だな。俺の嫁にしてやってもいいぞ?お前は可愛い」

「なっ、貴様!何者だ!」



私が喋った瞬間に移動して来たのか?

それともその前から居たのか……

どうなってる、もし瞬間的に移動してきたなら確実に神階レベルの強さだ……

いや神階か。

もしその場に前から居たのなら、大敵は2人もいるのか……


「いやー、1つしか無い選択肢なのに、2つも選択肢を考えるのって人間の愚かな所だよな……」



ど、どういう事なの?

私の思考が読まれてる?

それとも勘ぐってるだけ?

訳が分からない……とりあえず腹部にダメージ与えて距離を取って一旦逃げないと……


「腹部にダメージね……中々その焦りでそこまで考えつくね。いい判断だと思うよ、敵が俺じゃなかったらね」

「うるさい!かみなり 上九階きゅうかい 瓦釜雷鳴がふらいめい!」


マルメーネは雷の疑を使い、周囲に飛び回る。

その速さは音速、そのスピードで神階らしき者の腹部では無く頭部に攻撃する。

だが、それは読まれておりすぐに回避される。

マルメーネは諦めずに何度も何度も雷の疑を使う。


「いくらやっても無駄だ、若き愚か者よ。我は敵の思考、敵の思体したいが分からるのだから」

「私の考えている事と体が考えている事が分かるだと……」

「あぁ、我は神階だからな」

「やっぱりそうなのね……なんで神階様がここにいるのかしら?」

「なぜ言わないといけない?雑魚共に」


マルメーネと神階らしき者が話している間、アイリスは隙を狙い、数少ない近距離の高火力技こうかりょくわざで神階らしき者を瞬殺しようとしていた。



マルメーネ様を侮辱するなど、許さん!

マルメーネ様が少し動いた時に一瞬で片ずける。

あっ、動いた。

虓範地シウォン頼むわよ。

一階いっかい 天涯地隔てんがちちかく


アイリスがマルメーネの動いた瞬間に、地の疑を発動させ、命の半分を削る変わりに普通の疑の20倍の力を使う事ができる。

最強であり最凶の技である。


「確かにアイリスとはやらは勇敢だな。だが俺は舐めたらダメだぞ?あの雑魚兵士達に伝えて来い、魔階のマルメーネ」


神階らしき者は、アイリスの攻撃を片手で掴む。

アイリスは「なんで?確かに不意を着いたはずなのに……」とひたすら批判するが、


「俺の能力はさっきもいったが敵の全ての思考を読める。その思考範囲領域は、10キロまでだ」

「10キロって……なんなのよ、そんなの勝てる訳ないじゃん……」

「あぁ、勝てるわけないな。だがこれを引き起こしたのは黒崎劍と言う奴だ。そいつを恨め」


マルメーネは神階らしき者に攻撃をしようとするが、時は既に遅くアイリスは頭を殴られ、顔が粉砕する。


「アイリス?アイリス!!貴様……貴様、貴様!!!!」


怒りに身を任せたマルメーネは、神階らしき者に攻撃を仕掛けるが、そんな時にマルメーネを止める者が現れたのである。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る