第十話 真のヒロイン
俺は今どこにいるんだろ。
ここはどこなんだ……
もう何も考えたくない。
大事な人を失い、今まで暮らしていた場所を奪われる…いや失う。
これ程辛いのかよ。
「はぁ……」
「君、どうしたの?」
俺がため息をついて座っていると、俺と同じくらいの歳の髪は黒くスタイルがとてもいい可愛い少女が、俺を心配したのか話しかけてきたのである。
「何もねぇーよ、ただ座りたい気分になっただけだ」
「嘘だね。君は、DMRの実験体でしょ?」
「なんでそれが分かるんだよ!?」
「やっぱりそうなのね!」
女は嬉しそうに剣城に話しかけてくる。
その内容は、DMRの世界で何をしたのかやどういう人物と出会ったのかなど次々と聞いてくる。
「お前、そろそろなんでこんな事聞くか教えろよ」
「あぁ、忘れてた!私は
「えっ……」
「私も君と同じFg(ファイナルゲーム)のSDSL(ゾディア)の主人公女性バージョンの世界に行ったわ」
その少女は、まさかのFgの実験体であり剣城と全く同じの世界に行き過ごしていたのである。
そしてその少女からある事を聞かされる。
「私はね。あの世界に行ってあの世界のラスボス、神麗封魔を倒したの。でもその犠牲に私の大事な人が沢山死んだ」
「お前もなのか……」
「そしてこの世界に戻ってきた。私は何も考えられなかった。どうしてあの世界に行きたいと思った自分がいたのか」
「俺と似てるな、お前は」
そうして中平瑞希は、剣城に自分の世界について隅々まで話した。
例えば、大好きな人がいた事や大事な友達がいた事、神麗封魔というラスボスにその仲間や好きな人を殺された事。
「お前……」
「でもね、私はどんなに大事な人が死んでも戦う事を諦めちゃダメだと思うんだ。」
「なんでそう思うんだ?」
「だって私が死んだらその後の世界はどうなるも思う?ロボットはロボットでも人の心、いや命が宿ってるのにその世界から逃げたら残った世界の人達はみんな死ぬ、だから助けないと行けないんだよ」
そうだ。
俺は何をしてたんだ……
ただ自分の事だけを考えていた、明音会長は生きてる。
羽波もいきてる。
俺はどうしてあの世界から逃げてきた。
この少女はどんなに辛くても最後まで戦ったのに、俺は何してんだよ。
「
「うん、そうだけど」
「俺はまだDMRのFg(ファイナルゲーム)をクリアしてないんだ」
「どういう事?」
「俺は逃げてきた、ラスボスに負けて逃げたんだ。でも、お前のおかげで自分のすべき事が分かったよ」
「それなら良かったよ、まだクリア出来てないんなら今から行きなよ!」
「でもあの世界はもう……」
「いや、まだ大丈夫だと思うよ」
「えっ?」
「実は、私はあのゲームの開発者のマスターに言われてここに来たの」
「まぁこんな汚い場所に来るって事はそうだろうな」
「まぁクリア出来てないのは知らなかったけど、何か大きな問題があったとは聞いたからね」
「すまんな、関係ないのに俺の事を助けてくれて」
「関係あるよ!だって私とあなたはこのゲームの実験体なんだからさ!」
「確かにそうだな、
「もちろん!貴方の名前は?」
「俺は
「じゃ
「あぁ!それじゃ行ってくるよ」
「クリアしてきてね!」
そうして俺はクリア途中のゲーム
Fg(ファイナルゲーム)シリーズ 第一弾 SDSL(ゾディア)の世界へ再びクリアを目指し走り出す。
瑞希によると、あの男は俺が戻ってくると予想していたのか知らないけどゲーム内の時間を現実世界と比較して極限まで遅くしているらしい。
つまり、時間は多分だが一分か二分程度しか進んでないはず。
今度こそは勝つ。
勝って舞と羽波に「勝ったよ」と伝えるまでは絶対に諦めない。
DMR開発0120
ドン!
「来たか」
「はい、来ましたよ」
「マスターの言う通り戻ってきましたねぇ。」
「
「俺は俺のクリア出来なかったゲームのラスボスを倒しに行く」
「良いだろう、お前はあの世界を救うに値する価値がある」
「よくわかんねぇーが時間はどれぐらいすぎてる?」
「2分だ」
「分かった、すぐにダイブしたいんだがどうすればいい?」
「カプセルの中に入れ、そしたらすぐに行ける。記憶は残したまま行かせるがいいか?」
「あぁ、頼んだ」
そして俺はカプセルの中に入る。
ロボットの世界、いやFg(ファイナルゲーム)シリーズ 第一弾 SDSL(ゾディア)にもう一度ラスボスを倒しにダイブするのである。
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