第19話 文章が書けない

もう、一時間近くパソコンの前に座っているのに、一行も文章が書けない


まるで喉の使い方を忘れてしまった、シンガーのよう。


惨めだ


それでも


落穂ひろいのように 言葉の破片を拾い集める


真っ黒に塗りつぶされたキャンバスを針で擦って、傷つけて、


中に書かれた絵画を覗きみるように。


搾りつくした檸檬からまだ果汁を搾り取ろうとするように


終わりは、はじまり。はじまりは終わり。


もう少しだけ。もう少しだけでいいから。


続いていたいんだ。

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