第18話 白い腕

眠りと覚醒の狭間に、白い腕は私の喉元に手を伸ばす

無数の、ほっそりとした、女のような白い腕だ


「こっち」

「こっち」

「こっちにくれば楽になれるよ」


おいでおいでをするように

柔らかい声が彼岸に誘う


「もう

辛いのは、いやでしょう」


私はその手を振り払わない

……振り払えない


闇の底へ連れていくかのような 白い腕の群れに纏わりつかれて


でも


「……もう い……ないって」


「なに?」


もう 要らないって言われるまで。

私を必要としてくれる人が一人もいなくなる状態になるまでは。


――頑張ってみようと思うんだ


その決意は声にならない


涙が喉に詰まって熱い塊になってどうしても声にならない


白い手は黄昏の底で揺らめいている


馬鹿なやつだと私をあざ笑うかのように

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