第7話 豚の生姜焼きメモライズ

夜更けの台所からこんばんは。


すごくシンプルなのにどうも作り方が毎回思い出せない料理の一つが『豚の生姜焼き』です。


肉を漬け込むタレの調合はどうだったかな、いやそれより肉は漬け込むのが正解だったか、それとも焼いてからタレを絡めるんだったか。


そもそも、私の物覚えの悪さは天下一品。というより忘れていいと判断する範囲が広いのです。


物事には『①無意識に叩き込むレベルで必ず覚えておかなくてはならないこと』『②普段は忘れていても、その都度調べて思い出せばいいこと』『③忘れてよし』といった記憶の優先順位を設けています。豚の生姜焼きのレシピは②に該当するわけです。


毎度、レシピを見ながら出来れば次回は調べる手間を省きたいと思います。そして「メモライズ、メモライズ」と呟くのです。

10年近く前にボリビア人からスペイン語を習っているとき、彼は唱えるように「メモライズ、メモライズ」つまり「暗記して、暗記」とことあるごとに促してきました。その名残です。


けれど②と③に分類された忘れちゃう事項は①の覚えておくカテゴリーになかなか昇格できないのです。


特に数字に弱く、誕生日などの記念日は本当に苦手。さすがに自分の家族の誕生日はわかるけど、息子の生まれた年は間違えそうになるし、義実家ファミリーの誕生日は何度きいても忘れてしまう。結婚何年目かもすぐわからなくなる。愛猫が何歳かもすぐ忘れてしまう。


お祝いに出遅れて「申し訳ないな」と気まずい思いをしても、病的に覚えられない。きっと前世でよほど数字に嫌な思いをしたのでしょう。


誕生日や記念日を覚えられなくても、相手への愛情は確かにあるのです。今そこにいてくれることがすべてだから、過去は振り返らないわ……などと言い訳してみます。うん、人間は無意識に『できない』言い訳を探す生き物かもしれませぬ。



【深水家の豚の生姜焼きの作り方】


豚肩ロースを酒、醤油、みりん、すりおろした生姜で作ったタレに数分漬け、焦げ目がつくまで焼きます。

以前は塩こしょうした肉を焼いてからタレに絡めていたのですが、最近は漬け込み派です。


どうぞ召し上がれ。

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