解説・トーレスアーク本体
トーレスアーク
二脚自走式装甲車という自衛隊らしい名称を直訳したA two legged self-propelled armored carからそれっぽくつけられた名前を持つ俗に言うロボット。公式な通称で世界的にはこう呼ばれるが、日本人と極一部の人間は元ネタからタコと呼ぶ。
構造としては、操縦席である箱に手足が付いた様な物。人工筋肉を骨格であるフレームに人体の筋肉の付き方を簡略化させて装着してある。
人工筋肉のコントロールは電気信号による物。その為の電力消費はごく僅か。現在あるのと同じ車用バッテリーとその充電の為のエンジン(五十cc)だけでまかなう。ガソリン二リットルで一週間程連続稼働出来る。
機体長にメーカー差はあるが、およそ四メートル程度の大きさ。
操縦は左右のレバーとペダルで行う。が、実際にレバーとペダルの動きで直接手足を動かしている訳では無い(動かす事も可能)。格闘ゲームのコマンド入力に近く、特定の操作で特定の動きをさせる事が出来る。基本的な立つしゃがむ走る等のパターンは全トーレスアーク共通だが、個人でカスタマイズも可能なので、戦闘機動になると他人のトーレスアークを操縦するのはほぼ不可能に近い。機体を乗り換える場合は自機のデータを移植させる必要がある。
レバー、ペダルのストロークはかなり小さい。これは耐圧服を着込んで操縦すると、ほぼ身体全体が固まった様に固定されてしまう為。手首足首から先を動かすのには支障は無いので、その可動範囲を元に決められている。
全身にカメラが仕込まれ、各カメラ映像を統合してヘッドセットARモニタに表示する。なのでトーレスアークには首がなく(頭はある)、アニメの様に上下左右を見るような動きはしないが、中のパイロットが首を動かすとそれに伴いモニタに表示されるカメラ映像も視点が移動する。但しカメラの不備等の時の為に開閉式の覗き窓はある。
タコ乗りの中には、派手なペイントをした物や、トーレスアークの元ネタになったモノに寄せる為頭部に三連ターレットをつけている者もいるが、あくまで飾りでしかない。
トーレスアークには様々な機体がある。国産では二八式や四〇式、海外だとタロスII・III、アグニ、恒河やミーシャ等。
これらの機体の性能差はほとんど無い。人工筋肉が基本的に同じで、迂闊にパワーを上げるとパイロットの負担が増えるだけだからだ。
カタログデータでは色々と違いはあるが、パワーを誇る機体でもその分重装甲化していたりする為パワーウェイトレシオはどの機体もほぼ同じ。違いは乗り味やフレームの強度程度の差でしかない。ただ機体重量の軽重で俊敏に動けたり体当たりで相手を吹き飛ばせる等の違いはある。
とはいえ先駆者である日本製のトーレスアークは、部品精度や重箱の隅を顕微鏡で見ながらつつく様な気配りの結果故障率の低さや耐久性が頭抜けている。
人工筋肉
駆動液と呼ばれる液体の中に一般的な化学繊維を元にした擬似筋繊維を入れ、電気を流すと収縮する事が発見された。単純なオンオフの動きだけでなく、電圧によるコントロールも容易だった為多種多様に利用が可能。駆動液の開発と擬似筋繊維の反応の発見が無かったらトーレスアークは実用的な物にはならなかった。
円筒の中に筋繊維と駆動液が入った状態で使用されるが、連続使用で発熱し、性能が低下する。それもあって駆動液は筒に付いたカプラで接続されポンプで循環されて冷却され性能低下と劣化を防ぐ。但し人工筋肉の性能を抑制する為に計算された温度以下に下げる事は無い(除くミッションザック作動時)。駆動液の寿命はおよそ一年だが、状況により異なる。使用場所により様々なサイズがある。
最初期の人工筋肉が既に人間が耐えられるレベルを超えたパワーを出した為、最新式でも最初期型との違いは無い。
出せるパワーは人間等と同じで、筋繊維の太さに比例するが、ある程度の筋繊維の太さがないと電圧によるコントロールが難しくなり、最悪人工筋肉が機能しなくなるという欠点もある。
トーレスアークの拡散と共に人工筋肉の流用も進み、今では発電機すら人工筋肉式になっている。化石燃料エンジンにも簡単に組み込める(ピストンを取り除き、コネクティングロッドとシリンダーヘッドを人工筋肉で繋ぎコントロール用の電装品を追加するだけ)。トーレスアークの充電用エンジンはガソリン式だが、これは単純に費用の問題。小排気量で一定の回転をさせる様な物だとガソリン式の方が効率や費用対効果が高い為。
この人工筋肉のお陰で内燃機関が激減した上、人口の減少のせいもあり温暖化や大気汚染の問題も解決したのは皮肉と言えば皮肉。
ナックルガード
トーレスアークのマニュピレータ(手)を守る為の物。
『元ネタ』では炸薬式のアームパンチ機構を使い直接拳でぶん殴っているが、精密な動きを要求されるマニュピレータで直接攻撃をするとあっさり動作不良を起こす。その為拳を守るために上腕部手首部分に装着される。コの字型で拳を覆う様に展開し、拳では無く上腕部で衝撃を受ける構造(一応接続部には人で言うと軟骨の役割を果たすハードゴムが仕込んである)。通常は上腕部側にあるが、回転して拳側にセットする。
構造上展開状態ではマニュピレータを使用出来ない為ほとんどのトーレスアークでは左腕に装着されているが、純格闘型等両腕に装着している機体もある。
拳を守るための物だが、衝撃は腕部に伝わる為使えば機体にダメージを受ける。基本的には緊急時の装備なのだが、格闘特化のパイロットはガード基部等を強化して多用する者もいる。
ピック
くるぶし部分に付けられた『杭』。地面に突き出してその抵抗で速度を落としたり曲がったりという機動が出来る。
高速移動中の使用は機体のバランスを大きく崩す為に瞬間的な使用に限定されるが、ベテラン勢の中には崩したバランスを利用する者もいるのでピックの使い方で熟練度がわかると言われている。
走行用ローラー
踵部分に装着された駆動ローラー。作動時にはつま先部分の走行用タイヤも足裏から出てくる。
ステアリングに相当するモノは無く、低速時は足の向きを変えて曲がり、戦闘時にはピックを使って曲がるが、熟練パイロットは体重移動を使って滑らせる事で曲がる。
人工筋肉だけでは瞬間的な回転のコントロールが難しい為戦闘時にはコアレスモータと併用して瞬発力を得ている。その為長時間の戦闘行動時の使用はバッテリーの絡みで難しい。巡航移動時は人工筋肉のみで駆動するが、一話でコウの機体が故障した様にどちらかが傷むともう片方にも影響が出る。
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