第3話 〜時は流れて〜 兎サイド
兎は月を見上げていた。
今宵は満月、餅をつく兎の影がはっきりと見える明るい月。
兎の目には影が笑顔に見える。
兎さん。
後ろから呼ぶ声が聴こえた。
兎は振り向くと其処には月の輝きを纏う綺麗な女性が立っていた。
兎さん、貴方の想いは月にしっかりと届いてますよ。
そして、月から伝言を預かっております。
「あたしも兎さんの事を愛しています。」
兎さん、良かったですね。
貴方達は触れ合う事は出来ずとも、しっかりと繋がっております。
その言葉を聞いて兎の目からは涙が溢れました。
女性は聞きました。
さて、兎さん。
貴方と月は繋がりました、餅つきをやめて集団の中に戻っては如何ですか?
月もあなたが孤立していることを良くは思っていないと思いますよ?
兎は首を横に振りました。
俺はお月さまの事を想いながら餅をつく事をやめる気は有りません。
集団の中に、俺の幸せはありませんから。
俺にとっての幸せとはお月さまの事を想う事です。
俺は集団の中に居なくても孤立してません。
俺はお月さまを愛しています。
夜空を見て下さい。
お月さまがこんなに近くに居てくれてます。
独りでは無いのです。
愛しているお月さまが微笑んでくれている。こんなに幸せな事は他にはないです。
女性は頷くと姿を消した。
今宵は満月、兎は月に包まれながら餅をついている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます