Step8 勉強会
私、芹沢葵は今、窮地に立たされている。
何故かというと、そう、中間テストだ。
完全に忘れていた。
(どうしよう、全く勉強していない、小谷瀬君と勉強会してみたいなぁ、誘おうかな)
「よし、勇気を出して誘うぞ!」
幸い小谷瀬は机の上で読書をしている。
「小谷瀬君?」
私がそう尋ねると、小谷瀬は読んでいた本に栞を挟んでこちらを向いた。
「ん?何」
優しい口調で小谷瀬はでそう答えた。
「そろそろ中間テストだけど勉強してる?」
先ずは話の流れをテストへと持っていく。
「ん?してるよ」
小谷瀬は不思議そうな表情を浮かべていた。
「それでなんだけどさ…」
モジモジしながら言う私、緊張でなかなか言い出せない。
「うん」
それでも待っていてくれる小谷瀬。
「勉強会しませんか!?」
勇気を出して言ったら、少し声が裏返ってしまった。
「勉強会?いいね!やろう」
小谷瀬は私の誘いに乗ってくれた。
(となると、善はいそげ!早速、今日実行だ!)
「あの、もし良かったら、私の家で勉強しない?」
緊張のあまり変なことを口走ってしまった。別に図書室でも良かったのに。
「芹沢さんが良ければ、それで良いよ」
小谷瀬は少し照れながら応えた。
「此処が
家までの帰路は緊張のあまり全然覚えていない。気づいたら家だった。
「さぁ、入って良いよ」
そう言って玄関を開けて中へと促す。
「お、お邪魔します」
小谷瀬の声は緊張を孕んでいた。
「今日、両親家に居ないからそんなに緊張しなくて良いよ」
そう、言った瞬間何かに気がつき私の方が先に頬を染める。
「…」
なんか気まずい空気が二人の間に流れる。
「と、取り敢えず、私の部屋行こうか」
(今、気づいたんだけど私部屋に男の子いれるの初めてだ)
「その辺座ってて良いよ…」
そう言い小谷瀬を座らせる、小さなテーブルをベッドの下から取りだし、小谷瀬の前へ置く。
「さ、始める前に、お茶とジュースどっちが良い?」
そう尋ねると小谷瀬は「お茶で」と応えた。
「じゃあ、とってくるね」
そう言い残しキッチンへ向かう
「はぁ、緊張がするなぁ」
そう言い二つのコップを用意し、お茶を注ぎ、小谷瀬の待つ部屋へ向かう。
「お待たせ、始めようか」
そう言い、机にコップを置き、教科書やノートを用意する。
黙々と勉強をする小谷瀬の顔をチラ見してしまう
(カッコよ過ぎるでしょこれ、あーもう好き)
それから結構な時間がたった時だった
「ただいま~」
やばい母親が帰ってきた。
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