Step7 デート回

「楽しみすぎて待ち合わせ時間の一時間前に来てしまった」

 昨日は緊張でよく眠れなかったなぁ。


 「ごめん、待った?」

 そう言って登場したのは小谷瀬だった。

 

 「いや全然待ってないよ」

 嘘、ほんとは一時間位待っている、小谷瀬君ったら待ち合わせ時間ピッタリに来るんだもん。


 「じゃ座って話そうか」

 小谷瀬はそう言うとフードコートに置いてある椅子に腰かけた。


 (え…ここで?ここだとちょっと話しにくいな…騒がしいし)


 「ん?座らないの?」

 小谷瀬は不思議そうな顔でこちらを見てくる。


 「あ、えっと、カフェで話さない?」

 私はそう提案した。


 小谷瀬は「いいよ」と言い立ち上がり一階にあるカフェへ向かう。その間小谷瀬はちょっと申し訳なさそうなそんな表情をしていた。


 「着いたね」

 そう言い二人で中に入った。


 「いっしゃせ~」

 威喝そうな店員さんの元気な声が店内に響く、ここは居酒屋か!


 カウンターに行き注文をする私は「カフェモカ」を小谷瀬は「カフェ・マキアート」をそれぞれ注文し出来上がるのを待つ。


 「あ、忘れてた今日奢るよ」

 小谷瀬の口から意外な言葉が発せられた。


 「え?」

 私が返答に困っていると再び小谷瀬が口を開いた。


 「え?男子が女子と出掛けたときは奢るんじゃないの?ドラマだとそうじゃん」

 どうやら小谷瀬は何か勘違いをしているらしい。


 「え、ドラマ?」

 私は小谷瀬君がドラマを見ていることに驚いた。


 「妹の影響でね、よく一緒に見せられてる」

 妹と一緒にドラマ見ているのか…妹ちゃん羨ましい…。


 「そっか、奢らなくていいよ、そういうのドラマの世界だけだからさ」

 そう言って小谷瀬の厚意を断った。


 やっとコーヒーが出来たので席を探して座る。


 「ふぅ、」

椅子に腰かけたとき声に出てしまった。一時間も立ちっぱなしだったからかな…。

 

 「でさぁ、ここの新作マジでやべぇんだって」

 と入り口から聞こえてくる声に聞き覚えがある…。


 あいつはスクールカーストトップの…

 『一条いちじょう 姫華 ひめか』通称『学年一の姫様』


 どうして此処に…あ、バレたら小谷瀬君嫌だよね…。


つづく

Step7 デート回 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る