Step2 あいさつ

(さぁ、今日は小谷瀬こやせ君と、もっと仲良くなるぞ!)


「おはよー芹沢ちゃん」

「おはよー芹沢」

「おっはー芹ちゃん」

 私に話し掛けてくる他の男ども…。


(モブの癖に私に軽々しく話しかけないで頂戴!)


「…」

 その時、スッと自席に着いた小谷瀬。


 後ろから物音がし、私は後ろを振り返る。

(って、あれ?小谷瀬君もう来てる…いつの間に…)

 いつ彼が来たのか、私には分からなかった。


(ってか、何で話し掛けてこないのよ…まって私、『恋する乙女』的な感じになってるのよ…)


(別にあいつなんて、なんとも思ってないんだからね…ツンデレかよ…)

 独り、脳内にツッコミを入れると虚しくなってくる。


「あ、おはよ、芹沢さん」

 小谷瀬は笑顔で話しかけてきた。


「あ、おはよ小谷瀬君!!」

 私も満面の笑みで対応する

(まって×4 小谷瀬君!不意打ちはズルいよ…ヤバい絶対顔溶けてるって、ふにゃふにゃだよ…)


「ねぇねぇ、あお~見てこれ…何で、にやけてるの?怖…」

 少し引いたかのような目で此方こちらを見てくる村田。


「いや、にゃんでもないよ、ふほほ」

我ながら誤魔化しは完璧だった。


「それでさ、見てよこれ、パンケーキ!可愛くね?」

 スマホの画面を自慢げに見せてくる田村。


「うん♪凄く、かーわーいーいー」

 私は声のトーンを高くして応える。


(この子と絡むと楽しいけど疲れるな…)


「じゃ、またね」

 そう言うと村田は自席に戻って行った。


(さぁ、邪魔物村田は消えたし、小谷瀬君!話し掛けるなら今よ!)


「…」

 小谷瀬はイヤホンをしながらスマホを弄っている。


(こりゃ、こっちから話しかけても、私の声は聞こえないか…)



Step2 あいさつ 終了

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