第5話 「玉子の立場」と「めんつゆの立場」

「で、これがドーナツの言うアイディアってやつなのか?」

 空が、えみの母さんの大きな花がらのエプロンをつけながら不満そうに言う。

 母さんは特に身長の高い方ではないが、空がエプロンをつけると丈が長過ぎて、スヌーピーに出てくるキャラクターを思い出してしまう。

「仕方ないじゃない。少なすぎる情報から作戦を考えなきゃいけなかったんだから」

 ナツもエプロンをつけながら言い返す。

 こちらは自前の、空色のエプロンだ。

 無地のデザインがナツらしい、とえみはひそかにほくそえむ。

「ドーナツ、お前、エプロンなんて似合わねえな。ドーナツは、しかめっ面して本読んでるのが、やっぱりお似合いだ。あれ、これ、どうやって結べばいいんだ?」

 えみの母さんのもう一着のエプロンをつけながら、寛が憎まれ口をたたく。

 本当に似合ってないと思うなら、どうしてエプロンのひもをもつらせてしまうほど見とれていたのか聞いてみたいものだが、ここは見逃してやるのが武士の情けってものだろう。

 っていうか、寛こそ丈が短過ぎてエプロンなんだか前かけなんだかわからない姿になっている。

 やれやれだ。

「はいはい、ばんざいして。これはこっちを通して、こう。ほら、ちょうちょ結びならできるでしょ?」

 すでに自分のエプロンをつけ終わっているえみが、寛の救援に回った。

 まったく、四年生がとらより手がかかるって、どういうこと?

「私はさすがなっちゃんだって思ったな。ざしきわらしが玉子焼きをぬすみ食いするほど好きなんなら、その玉子焼きでおびき出しちゃおうっての、悪くない考えだと思う」

 ほほえみかけると、ナツは買い物袋からさっき買ってきた玉子のパックを出しながら言う。

「私はむしろ、さすがえみだって感心したわ。ふつう小学生が『木曜日はスーパーこだまで玉子の特売。ただし、お一人様一パック限り』なんて頭に入れてる?」

「そして同級生男子に『あんたたちも買い物につきあって。そうすれば四パック買えてお得だから』なんて指図するか?つうか、それ以前に思いつくか?」

「だって、先月玉子かけごはんのレシピを試しまくってた時、弟のとらしか動員できなくて、くやしい思いしたんだもん。結局、あのスーパーのレジに二回並んだんだから。あ、ナツ、ストップ!」

 食器だなから色々取り出しながらおしゃべりしていたえみが、ナツを止めた。

「玉子って転がりやすいでしょ。だから、調理台の上にそのまま置いちゃダメ。大き目のお皿に置いたらいいわ」

 言いつつ、大きなお皿を食器だなから取り出し、空に手渡す。

 空はそのお皿と玉子のパックをキッチンカウンターに置き、玉子をお皿に空けていく。

「寛君、手を洗ったらこのおわんを並べてくれる?なっちゃん、寛君のあとで手を洗ってね」

 くるくると動きながら、次々と指示していくえみの姿に、みんなあっけにとられている。

 ふだん、学校で見せるえみの姿とあまりにもちがう。

「なあ、このおわん、何するんじゃ?みそ汁でもこさえるんか?」

 寛のとんちんかんな質問に、手を洗いながらナツが答える。

「これから、割った玉子の中身を入れるのよ。そうでしょ、えみ?」

「ご名答!」

「でも、あとで食器を洗う時の手間を考えたら、ボウルか何か、もっと大きな物に入れた方がいいと思うんだけど?」

「さすがなっちゃん。食器を洗う時の手間まで考えてるとは、あなどれないわね。でも、おしいな。本を読むのに忙し過ぎて、実際に料理をする経験が足りてないみたい」

「経験?」

「そう、経験。もっと言うと、うまくいかなかった経験ね」

「うまくいかなかった経験?……分かんないわ。こうさん。どういうこと?」

 ナツが両手を上げてばんざいのポーズをする。

 何でも知ってる物知りナツの、ちょっとレアな姿に、男子二人が顔を見合わせてこっそりにやり。

 もう、君達どこまで子どもっぽいの?

「玉子ってね、めったにないんだけど、いたんでることがあるの。今回はスーパーで買ってきたばかりだから、まず心配いらないと思うけど、冷ぞう庫から出してきた玉子は、言っちゃえば、いつからそこに入ってたのかわからないとも言えるでしょ?」

「わかった!いたんでる玉子が一個でも混じってた場合、大きな一個の入れ物に入れてたら、それまでに割った玉子を全部捨てなきゃならなくなる。けれど、小さな入れ物を使っていれば、いたんでた玉子だけを捨てるだけですむ。そういうことでしょ?」

「その通り。お料理の本なんかを読んでると、まず、光にかざしたり、塩水につけたりして玉子が新鮮だってことをたしかめましょう、なんて平気な顔して書いてるけど、実際に料理する段になったら、そんなこと面倒くさくってやってられないじゃない?割ってみて、形と色とにおいで判断するってのが現実的だと思うな」

「そりゃそうだ。うちの母ちゃんが目玉焼き一個作るのに、塩水を作り始めたら、心配になっちゃうよな」

「そりゃあ言えるのう、空兄ちゃん」

 それぞれに割り当てられた仕事をすませた男子達が、うれしそうに話に混ざってくる。

「なるほど、うまくいかなかった経験の不足ね。確かに、私、割った玉子がいたんでたって経験がなかった。玉子はもちろん、全部新せんで食べられるに決まってると思い込んでたわ」

 感心して、やたらとナツがうなづくので、えみは何だか照れてしまった。

「やあねえ、なっちゃんたら。そんなに感心するほどのことじゃないってば。それより、玉子焼きづくりを進めましょ」

 そう言って、お皿に出された玉子を次々と割ってはおわんに入れ始めた。

 ナツもそれにならって玉子を割りはじめ、男子二人も見よう見真似で挑戦してみる。

「あ、寛君、玉子を割るの、ここでやってみて」

 キッチンに四人もつめかけたため、大きな体を持て余し、キッチンのすみっこで、食器だなの角で玉子を割ろうとしていた寛に、えみが声をかけた。

「この角が、玉子を割るのにちょうどええと思うたんじゃが」

「わかるわかる。私も母さんに教わるまで、角で割ってたもん」

「角じゃいけんのか?」

 あわてた様子で、空が割りこむ。

「いけないってほどでもないんだけど、角だとね、ぶつけた時の力が集中しすぎて、割れた玉子のからが混じったり、黄身がつぶれやすくなっちゃうの」

「玉子焼きを作るんじゃけえ、黄身がつぶれてもよかろう?」

「うん。そうなんだけど、黄身がつぶれちゃうと、いたんでる玉子との見分けがつきにくいでしょ?」

「なるほど、そりゃあその通りじゃわ。しかし、それじゃあどうやって玉子を割ればええかいの?」

「平らな平面で割ったらいいんじゃない?ほら、こことか」

 ナツが調理台の何もない平面に玉子をぶつける。

「こうすれば、とがった場所にぶつけて玉子を割った時より、力が集中しにくいはず。そうでしょ?」

 ナツは言いながら、割った玉子に目を向ける。

 両手の指を割れ目にはわせ、玉子のカラを開こうとするが、うまくいかない。

「あら、うまくいかない?」

 コンコンと、あちこちで音がする。

 空き缶コンビも平面で玉子を割ることに挑戦しているのだ。

「角で玉子を割った時と比べて、割れ目が短くて、カラを開きにくいわ」

「冷ぞう庫の横の面でやっても、結果は同じだ」

「床でも似たようなもんじゃ、空兄ちゃん」

 三人の視線がえみに集中する。

「そうなの。とがった角で玉子を割るとよくないからって、平面で割ると、今度は割れ目が小さくなりすぎて、カラを開いて中身を出す段階で苦労しなきゃいけなくなるんだよね。その結果……」

「わ、やっちまった!」

 えみの説明を聞きながらカラを開こうとしていた空が悲鳴を上げた。彼の手元では玉子がぐしゃぐしゃに砕け、黄身も崩れ、卵のカラのかけらがいくつか混入している。

「あちゃあ。やっちゃったか。平面だと、こういう事故が起こりやすくなっちゃうんだよね。空君、気にしないで。説明が間に合わなかった私が悪いんだから」

 そう言うと、えみは空の持っていたおわんを引き取り、テキパキと玉子のカラのかけらをはしで取りのぞく。

「こういう時は、ぬりばしよりも割りばしの方が作業しやすいよ」

 にっこりと空に笑いかける。

「それはそうと、床っていうのはいくらなんでもえい生的に問題アリだと思うな」

 ナツが床にしゃがみこんで玉子を割っていた寛を止める。

「ああ、そりゃそうじゃの。すまんすまん」

 寛は頭をかいて舌を出した。


「次は味付けよね」

 ナツは張り切って計量スプーンとめんつゆのボトルを取り出す。

「おう、任せとけ」

 空が右手を上げて気合を入れる。

 さっきのミスをばんかいしようという気持ちに応えるべく、ナツは計量スプーンとめんつゆのボトルをそのまま手渡した。

「簡単に作りたければ、めんつゆ大さじ一ぱいでいいんだよね」

「お、ドーナツ、予習してきたな?」

「ネットは有効活用しなきゃね」

 早速、空はめんつゆのボトルから中身をはかり取り、おわんに投入……

「あ、ちょっと待って!」

 えみが大急ぎでストップをかけるが、時すでにおそく、めんつゆはおわんの中へ。

「あ、あれ?何だ、ワラエー?おれ、また何かやらかしちゃった?」

 あわてる空。

 えみは申し訳なさそうに、めんつゆのボトルを指さす。

 不思議そうな顔をして、ボトルをのぞきこむ空。

 ナツもそれに続く。

「あっちゃあ。これね?」

 ナツがラベルのすみを指さす。

 そこには「三倍のうしゅくタイプ」と書いてある。

「ん?どういうこと?大さじってこれであってるよな?あれじゃないよな?」

 大さじの計量スプーンを持ったまま、不安そうにお玉にあごを向ける空。

「あ、うん。そこはまちがってないんだけど……いいか。自分で感じるのが一番の近道かもね」

 言うが早いか、えみは引き出しから小さめのスプーンを取り出し、空に手渡す。

「そのおわんの中身、かき混ぜてこのスプーンでちょっとだけすくって、なめてみて」

「?」

 首をかしげながら、空はえみが言った通りに、おわんの中身をかき混ぜて、スプーンでちょっとだけすくって、なめてみる。

 みんなの視線が集まる中、空はひたいにしわを寄せ、舌の先を出した。

「オレ、甘辛い味付けは好きだけど、これはちょっと濃すぎるぞ」

「でしょ?ここに書いてある「三倍のうしゅくタイプ」っていうのは」

 えみはめんつゆのラベルを指さす。

「使う時に3倍にうすめて使うタイプ、という意味なの。それをうすめないでそのままの量を入れてしまえば、そりゃあ味が濃すぎてもしかたないよね」

「あっちゃあ。またもやらかしちまったか!」

 がりがりと頭をかき、おわんを持って流しに近づく空。

「空兄ちゃん、気を落とすな」

「わかってらあ。しっかし、もったいないことしちまったなあ」

 弟のはげましに答えながら、おわんの中身を流しに捨てようとする空にナツが声をかけた。

「待って」

「ああん?」

「それを捨てるのは待って」

「なんだよ、ドーナツ。あきらめのわるいやつだな。何だったらお前も味見してみるか?これは捨てっちまうしかないって」

「そうかしら?」

「あのな、ちょっと考えてみりゃ分かるが、味付けは足し算しかできないんだよ。引き算は無理なの!」

「空兄ちゃん、なんだそりゃ?」

「もう、回転の悪い奴らだな。いいか?考えてみろ。味がうすすぎたら調味料を足せばいい。これが足し算。簡単にできるだろ?でも、味が濃すぎたからといって、もう入れちまった調味料を取り除くことなんてできないだろ?これが引き算はできないってことだ」

「なるほど。さすが空兄ちゃん、頭いいな。だったら、味付けをする時は、ちょっと少なめに調味料を入れて、味見をしながら調節すればいいってわけだ」

「ああそうだよ。寛にしちゃ、分かりが早いじゃねえか。ま、失敗してからそんなことを言ったって、後の祭りってやつだがな」

「そうかしら?いつも使える方法じゃないから、寛君が言ったことは気に留めておいた方がいいとは思うけど、今回の場合は引き算はできないけど、割り算が使えるんじゃないかしら?」

 そう言いながら、ナツは、みんなが玉子を割りまくった結果、おわんでいっぱいになってしまった調理台の上から、二つのおわんを取り上げた。

 それを空き缶コンビに手渡しながら続ける。

「ひとつの立場にとらわれ過ぎないこと。時には、立場を変えてながめてみること。それを覚えてほしいな」

「はいはい。「相手の気持ちも考えてみろ」だろ?先生にしょっちゅう言われてるから耳にたこができてるぜ」

「そして、耳にたこができても、それを実行できないから、あなたたちの周りからトラブルがへらないの。わかる?」

 空き缶コンビの顔をかわるがわる見つめながら、ナツは空の正面に立ち、手を差し出す。

 その合図に応じて、空はめんつゆの入っている方のおわんをナツに手渡した。

「このおわんの中の様子を、二つの立場から見ることができれば、今回の失敗はなかったことにできるの。わかる?」

「分からんのう。さっぱりじゃ。空兄ちゃんは分かるか?」

「おれにもさっぱりだ。おい、ドーナツ、確認するぞ。味付けに引き算は使えない。これはまちがいないよな?」

「まちがいないし、今回も引き算で解決はしないわ。今回使うのは割り算よ。あ、足し算と言えなくもないか?ん?じゃなくてかけ算?」

「かあ、何言ってるのかさっぱりわからん!」

「ごめんごめん。寄り道しすぎて混乱させちゃったね」

 空き缶コンビにほほえむと、ナツはおわんを調理台の上に置き、質問した。

「寛君、このおわんの中には何が入っている?」

「何って、空兄ちゃんが味付けに失敗した玉子に決まっちょる」

「それは、何と何からできてる?」

「何と何?玉子とめんつゆかのう?めんつゆの材料までは、わしはようわからん」

「OK、OK。今回の場合、玉子とめんつゆという答えで十分よ」

 言いながら、ナツはさっき置いたおわんの手前に、まだ味付けしていない玉子の入ったおわんと、めんつゆのボトルを置いた。

「まず、あなたたちがさっきから問題にしていることを、玉子の立場から考えてみましょうか」

 ナツの手が、味付けしていない玉子の入ったおわんのふちに置かれる。

「なんじゃ、その「玉子の立場」っちゅうのは?」

「いいから、しばらくだまって聞いていて」

 割り込む寛を黙らせるナツ。

「玉子の言い方で今のおわんの中を説明すると、「めんつゆが正しい量の三倍も入っている」って言い方になるわね。こっちから見ていると、空君が言ってたように、引き算はできないんだから、問題は解決しようがないように見えるね。けどね……」

 ナツは、おわんのふちに置いていた手を移動させて、めんつゆのボトルに置き直す。

「同じ状態をめんつゆの立場から言い表すと、どうなるかしら?」

「あ、そっか!なるほど」

 三人の会話をだまって聞いていたえみが、小声で独り言をもらした。レンジの下のたなのとびらをあけ、小さめのボウルを取り出す。

「ん?ボウルにたくさん入れる方法はやらないことにしたんじゃないのか?」

「でも空君、そのおわんじゃ、いくらなんでも小さ過ぎて混ぜられないよ」

「混ぜる?いや、もう混ざってるじゃないか」

「空君、えみの相手は後回し。めんつゆの立場で今の状態を言い表してみて」

「はいはい。わっけわかんないけど、ドーナツ様のおっしゃる通りにいたしますよおだ。……ええと、めんつゆにしてみれば、さっきの玉子の言い分は腹立つと思うんだよ。おれがあんな風に言われたら怒るよなって思いながら聞いてたんだ」

「ふんふん。怒って、何て言い返すのかな?」

 ナツの期待をこめた相づち。

 空は巻き舌で言い返す。

 目の前にいると仮定した玉子に向かって。

「うるせえな!だまって聞いてりゃ好き勝手ぬかしやがって」

 手を腰に当て、まゆの間にしわを寄せて、架空の玉子にすごむ空。

「お前はおれの量が多過ぎるって言うがな、おれに言わせりゃ逆さまよ」

 調子に乗って、架空の玉子のえり首をつかみ、ひねりあげる。

 それを見つめるえみとナツの期待のこもった眼差し。

 両者を見比べながら、寛は大急ぎで脳みそを検索中。

「お前が少な過ぎるんじゃねえか!みそ汁で顔洗って出直して来やがれ!ただし、おれに見合う量になって来るのを忘れんじゃねえぞ!」

「あなたに見合う量って、今の何倍!?」

「へ?」

 突然のナツの問いかけに、とっさに答えが出ない空。

 代わって弟が大声で答える。

「分かった、三倍や!三倍になって出直して来やがれ!」

「ご名答!」

 寛、ナツ、えみの三人がおどり上がりながらハイタッチ。

 空だけがついていけず、ぼうぜんとそれをながめている。

「ええと、どういうことだ?」

「空兄ちゃん、ホンマにわからんのか?もう、ほとんどゴールしてるのに」

 寛が目を丸くして兄を見る。

 空はくやしくて仕方ない。

「なんだよ、みんなスッキリした顔で。おれだけのけものかよ」

「はいはい。ひがまないの。説明してあげるから」

 ナツがいつも持ち歩いているノートを広げた。

 簡単に三人の人の絵を描きながら説明を加える。

「この子達、人呼んでめんつゆ三兄弟。めんつゆ太郎に次郎に三郎君」

 人の絵の上に「太郎」「次郎」「三郎」と書きこんでいく。

「この三人が、一枚の布団にぎゅうぎゅうづめになってるのが、今の状態ね」

 三人の絵を、一つの四角で囲む。太郎と三郎は、ところどころ布団からはみ出している。見るからにきゅうくつそうだ。

「でも、これ本当は、こうしたかったのね」

 さっきの絵の下に、同じ大きさの四角を描く。

 布団だろう。そこに一人だけ人を寝ころばせ、一郎と名前を書きこむ。

「うん、これなら気持ちよく寝られそうだな」

 空が口をはさむ。

「うん。でも問題が残ってるの。このままじゃ、次郎と三郎がかわいそう。だから、布団をしいてあげて」

 言いながら、ナツが差し出したえんぴつを受け取り、空はノートに四角を描きこむ。

「そりゃ、おめえ……そうか!」

 二つの四角を追加し、布団が三枚になったのを見ながら、空はさけんだ。

「この布団が、つまり玉子ってことだな。なるほど、三個分のめんつゆを入れちまったなら、玉子を三個にしてやればいいって寸法だ」

「よくできました」

 言ってナツは右手を上げる。

 空はほこらしげに胸を張り、自分も右手を高々と上げて、ナツ、えみ、寛と順にハイタッチをした。

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