火曜日の手紙

パパへ、これは火曜日の手紙です。


火曜日は一週間で一番、つまらない日です。

水曜日は学校が一限分短いし、木曜日は金曜日の前の日だし、金曜日がきたらもう、その次の日は学校に行かなくていいしね。

ぼくは運動部じゃないから、土日はお休み。

家でぐだぐだゲームができる勝ち組です。


火曜日は月曜日の次の日です。

だから一番つまらない。

一週間がはじまって、あぁ続いてるな。嫌だなぁ。

今週が終わっても、また来週があるんだなぁ、って思う日。

一週間とか一年ていう気持ちが(感覚が?)なくなったらどうなるのかな。

永遠、って気持ちになるのかな。

そうだとしたら怖いな、今日が永遠に続く、みたい。怖!


パパは、子どものころ怖くありませんでしたか。

明日の自分は大丈夫かな、一年後の自分は大丈夫かな。

大人になった自分が、今のまま、何もできない自分だったらどうしよう。

会社ってなんとなく行ったりしてもいいものなのかな。想像できないよ、学校も家も、なんとなくいるのにさ。

そもそも、ぼくを雇ってくれるところあるのかな。

入った会社潰れたらどうなるんだろ。

何を勉強したらいいのかな。

何ができるようになっておけば、この世界に存在してもいいのかな。

ぼくは、どうなるんだろう。

無駄にならない、効率のいい毎日とか絶対おくれてないし、将来とか暗黒でしかない。

人生ってリアルホラーゲームなんじゃないの、って思いませんか。僕には無理ゲーすぎる。

こんなに普通で、何もできないのに、生まれてきただけでゲームに強制参加なんて、なんというひどい世の中!

なんて色々考えていくとさ、かなり怖いよね。生きていくこと。


ね、火曜日は一番つまらないでしょう。

こんなこと考えても、死ぬまであと四日もあるのにね。

ぼくの火曜日は毎週こんな感じです。

パパの火曜日が、いい火曜日でありますように。


火曜日の手紙、おわり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る