新たな住まい
第六魔界に移住した少女は兄弟と番犬が暮らす家で居候しています。
兄妹の兄は少女を第六魔界に連れてきた青年です。
兄妹の妹は家事を一手に担っています。
番犬は犬の様な耳と尻尾を持つ獣人です。
移住してから少女は世界の常識を知ります。
一方的に与えられる事は特別であると。
何かを得るには何かを与える必要があると。
(何か対価を支払いべきなのかな)少女は考えます。
少女は何も出来ません。
屋敷で全ての家事は悪魔が行っていました。
少女は不安を抱きます。
(私は此処に居ても良いのかな)と。
同時に少女は考えました(何も出来ない私をなんで助けてくれたのかな)と。
「仕事がしたい」少女は妹に相談しました。
妹から聞かれます「なんで?」と。
(『私は役立たずだから』それを認めたら此処に居られない)そう考えた少女は「それは……」と言葉に詰まります。
「無職だから、と負い目に思う必要は無い」そう言った妹は「あの犬も多々飯ぐらいだし」と続けます。
お世話になってから今まで少女を警戒する番犬は家から出るところを見ていません。
少女はその理由を兄から教わりました。
亡き主人の遺品を守り続ける彼女は文字通り番犬なのです。
遺品の価値を少女は知りません。
それでも大切な物を失う不安を少女は知っています。
遺品を守るため家に籠る番犬は兄から家の番を任されています。
警戒されながらも追い出さず世話をする兄妹はとても優しい人たちです。
だからこそ、少女は考えます。
(何か、お返ししたい)と。
(世話をする為に生まれた悪魔とは違う)第六魔界でそれを知った少女は仕事をしたいと思い始めたのです。
それから一月後、兄妹の妹から紹介された仕事に励む少女は充実した日々を送っています。
最初は不慣れでしたが寛容な雇い主に恵まれた少女は少しずつ上達しています。
少女の休日は家事を行う少女の手伝いをしています。
兄妹の兄は十日前から仕事で遠出をしています。
兄の居ない生活に物足りなさを感じる少女は早い帰りを望んでいます。
(仕事だから仕方がない)少女は自分に言い聞かせます。
番犬は今日も自室に籠って居ます。
何でも『私が側に居ない間に盗まれたらどうするんだ!』らしいです。
言い分を聞いて(彼女らしい)そう思う少女は此処での生活に慣れていました。
リビングで妹の手伝いをしていた少女は鍵の開く音を耳にします。
(出迎えよう)そう思い玄関へ向かった少女は大切な家族と再会します。
その家族は少女の父親でした。
終わり
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