第16話

........強くなりてぇな。さっきの戦いが全く見えなかったからな........


「ん、なんでそんなに強くなりたいの?」

「そうだよ。主と私がいる限り、君を傷つけさせないから、君が強くなる必要はないよ。」


そうじゃねぇんだよな。俺は、異世界に来たからには、魔法やら、なんやら使って戦いてぇんだよ。見えない戦いをみて、守られてるのなんか嫌なんだよ。


「なるほど。わたしはあなたに危険な目に合わせたくないけど、あなたがそう言うなら........」

「私は主に従うよ。」


よっしゃぁ!んなら、さっさと基本から教えてくれるか?嬉しすぎて、震えてるぜ。


「わたしは魔法の基礎を教えるね。」

「なら、私は体術の基礎でも教えようか。」


魔法と体術........遠距離と近距離か。極めれば魔法拳士みたいになれるのか?


「ん。詠唱とか、魔法陣を描きながら戦えるようになるよ。」


彼女が身振り手振りしながら話している。わくわくしてきたぜ。........今からでも教わりたいが、国に着くのが先か?


「ううん。急ぎの用じゃないから、あなたをとことん鍛えてからにするよ。敵と遭遇した時、わたしとメリーで守りきれる保証ないからね。」

「絶対守れる。と言いたいところだけど、私も完璧ではないからね。」


優しい口調で俺に話してくれた。涙が出てくるぜ........目は無いけどよ。


「魔法と体術どっちを先に習うか、わたしとルビーでじゃんけんして決めるね。」

「私に手は無いんだけど........」

「大丈夫だよ。わたしには分かるから。」


そうか。考えてること分かるんだもんな。........って、先読みされたら、じゃんけんの意味ねぇだろ........


「ギリギリまで分からないようにしとくから、大丈夫なの。」

「たとえ主がずるをしたとしても、私は従うまでだよ。」


ずるは許したらダメだろ........


「じゃいくよ、さいしょはぐー、じゃんけん、ぽん!」


どっちが勝ったんだ........彼女の手は、パーを出している。幼いむにむにした手がとても可愛いな。


「負けちゃった。」

「私の勝ちみたいだね。よし、早速修行だよ!奏!」


俺みてぇなポン骨がどれほど強くなれるか、試してみるかな!

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