第15話

男が構えたと同時に、メリーが動いた。俺には何が起こっているかわからない。


「よかった。ちゃんと戦えてる。」


俺には見えねぇが、しっかり戦えているらしい。


「そんなもんか?おいおい、思ったより雑魚じゃねぇかよ。」

「そう思ったんだね。気づいてないなら別にいいよ。」


なんの事だ?さっぱり分からない。


「男の人が避けたと思っている攻撃は、全部当たってるの。メリーの攻撃は内側からダメージを与えてるの。」


引っ掻いてるけど、実はぼふっとした感じなのか?


「口だけか?あ?」

「もう終わり。じゃあね。」


メリーの声と同時に、男は血を吐いて地面へ倒れた。強いんだな。メリー。


「なんで........だ?全て攻撃は避けてたはずだ........」

「君の動きは対人特化。しかも、普通の。ある程度は戦えても、特殊な敵には意味はない。」


俺には見えてなかったから、どんな戦い方してたのか分からん。だが、いろんな敵を想定して戦い方を学んだ方がいいってのが分かってまぁまぁの収穫か。


「この男の人は、わたしがお家に移動させとくね。」


まだ生きてるがいいのか?


「もうすぐ死んじゃう。死後硬直したら使えなくなるから、お家の保存室に転送させるの。」


お家って男の家じゃなかったのか........


「主、奏、大丈夫?」


........お前誰だ?


「戦いの時と、別人みたい。二重人格?」

「........」


俺はメリーを見つめた。


「奏、遊ぶ?」


名前って教えたっけか?........覚えてねぇな。それより、ほんとかわいいな。


「メリー、遊ぶのはあとだよ。国に行かないとだからね。」


彼女は魔法を発動させながら言った。男がどんどん魔法陣の中へ消えていく。不思議だな。


「分かった、主。遊ぶのは後にするよ。」


素直でいい子だな........


俺たちは再び国へ向けて歩を進めた。それにしても、速い戦闘が見えねぇのはなぁ........彼女に相談だな。

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