第14話

そのまま大きくなるのかと思いきや、小型犬程度に落ち着いた。そして、だんだんかわいらしい姿になっていった........なんなんだよコレ?


「わたしが死なない限り、契約した子達は死なないの。でも、生命活動を停止した場合は、近くにいる同種族の契約した子達と融合するの。できない場合は、肉塊のまま私の傍でふよふよしてくれるの。」


意味がわからねぇな........生命活動を停止しても死なない........魂の話か?男の方は理解してるのか?


「なるほどな。いくらこいつを殺そうとしたって、ガキを殺さないと意味が無いと.......」


男は僅かな殺気を発し、馬車に向かって話す。


「姫、先に城へお戻りになられた方がよろしいかと。私はこの下等生物共を駆逐してから向かいますので。」


こちらからは分からなかったが、その声は姫に届いたらしく、馬車の中で影が頷いた。すぐに、馬車は動き出し、森の中へ消えていった。


「これで姫が居なくなった、俺の好きなようにできるな。」


男が放つ殺気が増した。今までは姫に感付かれないよう、隠していたのか........クソッ!俺に出来ることは........


「大丈夫だよ。ルビー?........新しい名前がいいよね........うん、メリーちゃんが何とかしてくれるよ。」


ルビー達改め、メリーちゃんが何とかしてくれるらしいが、こんなちっこいのに大丈夫か?


「舐められたもんだなぁ?俺が前の仕事でなんと呼ばれてたか知ってんのか?」


知ってるわけねぇだろ?この世界に来たばかりだしよ........それに、言葉遣いが荒くなってきてるぞ。


「分からないの。」

「なら教えてやるよさ【英雄殺し】だ。」


名前からして強そうなんだが........大丈夫なのか?そもそも、英雄殺したらダメだろ!


「思い出したの。先代勇者、メセルデウスさんを殺した人なの。裏の人がなんでお姫様の護衛になってるの?」


彼女に怖い物はねぇのかよ........俺なんか、殺気にビビって動けやしねぇ。


「冥土の土産に教えてやるよ、金だ。この世は金だ。金さえあればどうとでもなる、俺は金のためなら、汚れ仕事も、慈善活動でもなんでもやる。だが、人殺しは趣味でな。姫の護衛の仕事は、怪しいヤツを姫に近付けさせない事だ。要は、敵の生死は問わねぇってこと。殺しもでき、金も稼げる。一石二鳥なんだよ!」


言い終わるのと同時に、メリーに向かって剣を振りかざす。しかし、一瞬にしてメリーはその場から消えた。どういうことだ?........いた。木の上に座っている。


「今の君に、私は倒せないよ。だからといって、見逃すわけにはいかない。私の主と、親友を殺させはしない。」


しゃ........喋った!?


「うん。融合して、ルビーたちの知能が全て合わさった上に、石もひとつになって大きくなったからね。」


石が大きくなると知能も高くなるのか........いや、なぜ声が出る?分かんねぇな........


「犬野郎、喋れるようになったからって勘違いしてねぇか?それとも、さっきの攻撃を避けたからか?........調子に乗るのも大概にしろ、下等生物。」


メリーと、男の戦闘の幕が切って落とされた。

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