第8話
家付近からは分からなかったが、森の中に入って分かった。ここの森は普通じゃない。辺りに禍々しい空気が漂っている。
「........?」
俺はここがなんなのか聞いた。
「ここはね。死人の森って言ってね、亡くなった人の魂が植物として生まれ変わったのが、集まってできた森なの。」
そうなのか。だが、なんでこんなに禍々しいんだ?ただの死人の魂だったら、こんなにはならなぇ気がするんだが........
「ここの森の植物は、憎しみを持った魂たちが生まれ変わったものなの。だから、植物になった今でも、憎しみは消えず、無差別に襲おうとしてるの。」
そっか........?襲うってどういうことだよ。
「ここはまだ浅いとこだからいないけど、奥深くに行くとね、攻撃してくる植物がいるの。」
まじかよ。根とかで攻撃されたら俺、たぶん吹っ飛んでくぜ。
「大丈夫だよ。あなたが完璧になるまで、私が面倒見てあげるから。」
「ガルルゥ〜」
「あなた達もなの?」
「ガルゥ」
「ありがと。」
彼女は優しく、一頭一頭、頭を撫でた。守りてぇって、ルビー達、俺の事まだおもちゃとしか思ってないからだろ。
「あっ、あれ美味しいんだよ。」
歩きながら彼女は、目の前にある三つ編みされたみたいな木を指さした。
「........?」
何もなってないぞ?木の実がついてるわけでも、葉っぱがついてるわけでもない。幹だけがどしんと突っ立っている。
「この木のね、樹皮を食べるんだよ。」
彼女は軽く手を振った。瞬間、鋭い風が幹に当たり、樹皮だけが綺麗に剥がれた。幹からは樹液が流れ出している。
「はい、あなた達も食べてみて。」
彼女は俺らの人数分に、樹皮を分けてくれた。だがよ、俺は骨だ食べれねぇし、味もしねぇだろ。
「そんなことないの。お口から入れれば、ちゃんと味もするし、骨の隙間から落ちることもないの。」
ホントか?物は試しだ、食ってみるか。
「........!」
マジだ。ホントに味がする。サッパリとした甘みで、いくらでもいけそうだ。
「でしょ?」
飲み込むようにしても、骨の隙間から落ちねぇ。それどころか、光の粒となって消えていった。
「食べたものは、魔力になって神石に蓄えられるの」
じゃぁ食べれば食べるほどいいってことか?
「うん。魔力は使えば減るけど、蓄えられる容量が増えてくから、すぐ回復するようになるの。」
なるほどな。
「ガウ!」
なんだ?食べ物でも見つけたのか?
「違う。人影。敵かも、備えて。」
備えてと言われても、俺にはなんも出来ねえしな。心だけしっかりしておこう。
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